表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ナラティブ  作者: SW
第一章
5/105

【04】冒険者ギルド


—————ガラガラガラッッ


開けられた扉から差し込む朝の光が俺を浅い眠りから引き戻す。


「おはよう」

「・・・・・んんっ、おはよう」

「よく眠れた?朝ごはん作ってあげたからありがたくいただくのよ」

「・・・・・わかった、ありがとう」





昨日は大変だった。

よくわからない世界に飛ばされたのはもちろんだが、その後が辛かった。

夕食を食べた後、夜遅くまで話をしてだいぶ親しくなれた気がした。


「そろそろ眠くなってきたわね」


急にヒトミが立ち上がりドアを開けて外に出て行った。そして手招きをして俺を呼ぶ。

月明かりの下、どこに行くのかと思いながら後ろを歩く。家の裏にまわると小さな小屋が見えてきた。


「今日はここで寝てね。布団は無いけどこれを貸してあげる。おやすみなさい」


小屋の中に置いてあったタオルのような布を数枚俺に渡して出て行った、、、

この小屋、暗くてよく見えないが床じゃないな、———土だ


「こんな所で寝れるのか?」


一緒の布団で寝ようとは言わない、言ったら斬られるだろう。

一緒の部屋で寝たいとも言わない、言ったら殴られるだろう。

家の中で、せめて布団の上で眠りたい、、、

こっそり家に忍び込んでやろうか?

・・・いや、止めておこう。見つかったら血の雨が降りそうだ。

根性無しと笑いたくば笑え!

・・・・・グスッ。

こぼれ落ちそうになる涙を(こら)え、布を体に巻き付け硬い地面の上で眠りについた。





「あんまり眠れなかったし、何か体が痛いな」


テーブルに座り朝食を食べながら、さりげなく寝る場所の改善を訴えてみる。


「まだこっちに慣れてないから緊張してるんじゃないの?」


・・・・・残念ながら俺の訴えは伝わらなかったようだ。

いや知っててわざと言ったのかもしれない。


諦めよう、、、

隙間だらけでも屋根があるだけありがたいと思っておこう。


「そろそろ冒険者ギルドに行って登録しましょう」

「そうだな、早くお金が欲しい。早急に必要な物があるからな」

「はい、今日はこっちの服ね」


朝食を食べて、昨日買ってもらった他の服に着替える。

ちょっとゴワゴワしてるが、まぁいいだろう。

自分で買う時にもう少し肌触りのいい服にすればいい。


家を出て細い道をしばらく歩き、大きな道を門とは逆の方向に歩いて行く。

馬車がすれ違う事が出来るほど道は広い。歩くにつれて人も多くなってきた。ここの人達は俺よりも背が少し低い。それにやはり異世界、髪の色も多彩だ。黒や茶色、金髪はそんなに違和感がないが、青色や緑、赤なんかはやはり見慣れない。

この世界の人々を観察しながらヒトミの後ろを歩いて行く。


「着いたわよ」


ヒトミが大きな白い建物を指差した。


冒険者ギルド


町の中心にある白く大きな建物。

西部劇に出てくる様な木の扉を押して中に入って行く。

建物の中には受付が数ヶ所、壁に取り付けられたボードにはたくさんの紙が貼り付けられている。

クエストを探しているのだろうか、武器を持ったいかにも冒険者らしい人達がボードの前に集まっている。


「こっちよ」


ヒトミの後ろに付いて受付に移動する。


「この人の冒険者登録をお願いしたいんだけど」

「わかりました、登録料は大銅貨1枚になります」

「はい」


ヒトミが500円硬貨ぐらいの大きさのお金を渡す。


「ありがとうございます、ではこちらにどうぞ」

「じゃあ、私は向こうに行ってるから終わったら来て」

「わかった、ありがとう」


そう言うとヒトミはたくさん紙が貼られているボードの方に行ってしまった。

受付のお姉さんの前に行くと金属で作られた白いタグを渡された。

軍隊とかでよく見る認識票に似ている。


「ではこのタグを首にかけてここに手を置いて名前を言って下さい」

「ケイ」


カウンターの横にあるガラスの様な物で作られた板の上に手を置いて自分の名前を告げる。

名前を告げると首にかけたタグと板が淡く数回光った。


「はい、これで登録は完了しました。タグをご確認下さい」


【 ケイ  17歳  Lv.1 】

タグには名前と年齢、それにレベルが記入されていた。

17かよ!10歳若くなってるなぁ、、、


「間違いはありませんか?」

「ええ、大丈夫です」

「これであなたはFランクの冒険者になりました。これをお持ちください、簡単な説明しか書かれていませんので何かわからない事がありましたらこちらに聞きに来て下さい。後日でもかまいません、読み終わりましたら返却をお願いします。」

「わかりました」

「お連れの方も冒険者ですから、彼女に聞かれてもよろしいかと思います」

「はい、ありがとうございました」


そう言って受付のお姉さんは俺に紙を数枚渡した。

礼を告げてヒトミの方に戻って行く。


「この辺りにFランクのクエストが掲示されているから適当に選んで。どれでもいいわよ、私も付いて行ってあげるから」


—————書いてある文字が普通に読めてしまう、、、

ヒトミに教えてもらったボードにあるクエストの用紙をいくつか調べる。


「じゃあ、、、このウサギの皮と肉を取ってくるクエストにしようかな?」

「そうね、あんたみたいな弱っちいペーペーの冒険者には丁度いいクエストね」

「・・・・・受けるクエストの紙を受付に持って行けばいいのか?」

「そっちは持ってっちゃダメよ、クエストの内容を見て覚えておくの。で、クエストが終わったらその紙を持って受付に行くのよ。早い者勝ちだから終わった時には無くなってる事もあるわよ。あっちにある指定クエストは最初に紙を持って受付へ行くの、でもFランクには指定クエストは無いわよ」


なるほど、ランクが上がったら指定クエストとかいうのもやってみようか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ