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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
48/105

【14】—————速い!!!


「犬かな?」

「狼ではないでしょうか?」


岩陰に隠れながらその姿を確認する。

リワンが指さす方向には、1匹の黒い4本足の何かが見える。

俺は《看破スキル》を使って、そいつの情報を確認した。


【 マルコシアス Lv.19 魔族 】

【 火炎攻撃 爪攻撃 牙攻撃 召喚魔法 物理耐性 闇無効 】


「・・・・・魔族だな」

「えっ!?」

「ん?どうした?」

「今、魔族って言った?」

「ああ」

「う~ん、逃げよっか?」

「レベル19だぞ」

「魔族は上位種らしいわよ」

「ええ、私も聞いた事があります」

「レベル19でも強いって事か?」

「たぶんね」

「よしっ、逃げよう」


—————安全第一

岩陰から全員でゆっくりと後退し、元の場所に戻ろうとしていた時に、大きな遠吠えが聞こえてきた。

振り返るとその魔族が背中から翼を出して、飛びながらこっちに向かって来ている。


「バレちゃったかな?」

「ああ、たぶんな」


一つ目の大きな黒い狼のような魔族が、俺達の目の前で翼を羽ばたかせている。

俺はさっき見た情報をみんなに伝えた。


「ヒトミ、転移魔法分の魔力は残しておけよ」

「うん」

「危ないと判断したら、馬車を置いてすぐに魔法で逃げるぞ」

「わかった」

「俺とヒトミで斬り込むから、レイアは魔法で攻撃、リワンは自分の身を守れ」

「はい」

「わかりました~」


攻撃に移ろうと身構えた時、魔族がまた遠吠えを上げた。

地面に紫色の魔法陣のような物が浮かび上がる。

その魔法陣の中から、2匹の赤い狼が現れた。


「召喚魔法か?」

「そうみたいね」


【 オスクリダウルフ Lv.15 魔物 】【 火炎攻撃 爪攻撃 牙攻撃 】


—————こっちは普通の魔物か


「増えてしまいましたね」

「レイアとリワンで召喚された2匹を。こっちはレベル15の普通の魔物だから大丈夫」

「はい」

「頑張ります~」


リワンが突撃し、そのまま2体の魔物を引き付けている。

たまに攻撃を受けているが、しっかりと防御はしているみたいでダメージは小さい。

その後ろからレイアが魔法で攻撃しながら、リワンを回復している。

これなら大丈夫そうだ。


「こっちも行くぞ!」

「ええ」


俺はヒトミと同時に魔族に斬りかかった。

その瞬間、魔族は大きく口を開き、炎の球を吐き出して来た。


—————速い!!!


ヒトミは難なく避けているが、俺には無理だ。

炎の球を剣で受け止めたが、そのまま後ろに押し戻されてしまった。


体勢を立て直し、前を向くとヒトミが魔族と戦っていた。

華麗に攻撃を躱し、剣で斬り付けているが《物理耐性スキル》のせいなのか魔族の動きは鈍らない。

何回か斬った後、ヒトミは後ろに飛んで一旦距離を取った。


「斬った時の手応えが変ね」

「次は俺が相手をするからヒトミは魔法で」

「わかった」

「魔力を使い過ぎるなよ」

「うん」

「レイアが来たら魔法で攻撃するように言ってくれ」


俺はダッシュで魔族に接近する。

炎の球が放たれるが、ヒトミが魔法で打ち消している。

そのまま懐に入って魔族と対峙した。


黒光りしている大きな爪の付いた前足で、叩きつけるように攻撃してくる。

動きは結構早いが、なんとか対応出来そうだ。

横に薙ぎ払ってきた前足を躱し、斬り付ける。

確かに斬った時の感触がおかしいと言うか気持ち悪い。

腕への衝撃がほとんど無い。

何を斬ったらこんな感じになるんだ?


一進一退の攻防を続けていると、レイアが合流したのか土魔法が飛んで来るようになった。

2人の魔法を受け、魔族の動きが少しずつ鈍くなってきている。

そのまま優勢に戦いを進め、レイアの魔法で体勢を崩したのを見て、強く斬って大きく弾き飛ばした。

そこに向かって、凄まじい勢いで燃えさかる巨大な炎の球が迫る。

ヒトミの炎魔法だ。

金切り声のような断末魔の叫びと共に、魔族は赤い霧になって消えていった。


「—————倒したか?」

「・・・・・たぶんね」

「匂いが無くなりました~」




その場でしばらく様子を見た後で、馬車に戻りキャンプをした場所まで引き返した。


「俺と10もレベル差があったのに、ほぼ互角だったぞ」

「まだまだ未熟ね」

「ヒトミお姉ちゃんの魔法は凄かったです~」

「えげつなかったな」

「凄まじい威力でした」

「そんなに褒められたら照れるじゃないの」


頭を掻きながら照れていたヒトミが、急に何かに気付いたような顔をしてこっちを見てきた。


「そういえば、何であれが魔族ってわかったのよ!」

「・・・・・あー、この事は絶対に秘密だぞ!」

「はい」

「わかりました~」

「・・・・・この前《看破スキル》のレベルが上がった時に、相手の種族とスキルが見えるようになった」

「相手の詳しい情報が見えるなんて聞いた事がありません」

「不思議です~」

「どんどん変態になっていくわね、、、」


全員が俺をジト目で見つめてくる。


何故だ!?

便利になったのに、、、


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