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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
47/105

【13】緊張感の欠片も無い、、、


「そろそろ出発しようか?」

「は~い」


朝食を食べて、馬車を出発させた。

すぐに目的地に着くだろう。

何回か戦闘こなしながら、草原を抜け、林の中の道を進んで行った。




「ご、ご主人様~、いっぱい来ます~!」

「いっぱい?」

「はい~、熊さんと蜂さんがいっぱい来ます~!」


早速、団体さんのお出ましのようだ。

俺とヒトミは馬車を飛び降り魔物の方に向かった。

レイアは俺達の少し後ろで待機している。


魔物の群れがこっちに向かって来ている。

熊と蜂が仲良く襲って来るのは、少し違和感があるな、、、


俺は氷魔法で20cm程度の氷柱(つらら)を連続で撃ち出した。

最近覚えたばかりの氷魔法では、残念ながらこれが限界だ。

剣で斬る方が効率がいい気がする、、、、、


空からは拳サイズの石が無数に降り注いでいる。

レイアの土魔法だ。

エルフだからなのか使い慣れているからなのかはわからないが、撃ち出される数が多い。


ヒトミはダッシュで敵に斬り込んで行った。

俺もそれに続き、木や枝に(さえぎ)られて魔法で倒せなかった魔物を斬りつける。

その間も空からはたくさんの石が降り注いでいた。


魔物の団体さんをすべて黒い霧に変えた後、馬車に戻って先に進む。


「凄い数だったな」

「あんまり強くはないけどね」


レベル15程度とはいえ、あの数は大変だな。

これはDランクのクエストだから、PTじゃないと大変って言うのはちょっとわかる。

ヒトミがいるから楽だけど、普通のDランクならソロは無理だ。


「レイアの魔法は凄いな」

「レイアは魔法が得意なのよね」

「そうですね、私はエルフなので魔法は少し自信があります」


虫や熊、たまに鳥の魔物の団体さんを片付けながら、林の中を走って行く。

レイアは弓の腕も一流だった。

上下左右と不規則に飛び回る蜂を的確に射抜いている。

やっぱエルフと言えば弓と魔法って相場が決まってるんだな。




林を抜けて進んで行くと小さな川が見えてきた。

馬車を止め、ここで昼食にする。

目的地はすぐそこだ。


「ご()()人様~、虫()()()()()()来ま()~」


リワンが口一杯に食べ物を頬張りながら、魔物の襲撃を伝えてきた。


「リワン、しゃべりにくい時は指さしてくれればいいぞ」

「はい~」

「しかし、お昼時に来るとはマナーの悪い客だな、、、」

「ほんとよね」


ヒトミが食事しながら魔物を炎魔法で一掃している。

緊張感の欠片も無い、、、




早めの昼食を食べ、木も草も無い殺風景な土の道をしばらく進んで行くと、大きな岩がたくさん見えてきた。


「この辺りだな」

「着きました~」

「俺とリワン、ヒトミとレイアに分かれてやろうか?」

「は~い」


2組に分かれて採掘作業を行う。

(もろ)い岩を砕いて、薄い緑色の鉱石を取り出す。

握りこぶしくらいの大きさからバスケットボールくらいの大きな物まで、様々な大きさの鉱石を次々と掘り出していく。

岩はナイフや馬車の修理用の道具で簡単に砕く事が出来た。

採掘しながら襲い掛かってくる魔物達を始末し、掘り出した鉱石を俺とヒトミのアイテムボックスへ収納していく。


「ねぇ、もう1泊して明日もやろうよ?」

「私も賛成です」

「もっとやりたいです~」

「魔物もいっぱい出るから、魔石もドロップアイテムもいっぱいもらえるし」

「一石二鳥と言う事ですね」

「いっぱいお金がもらえそうです~」


3人そろってニヤニヤと悪い顔をしている。

この報酬であれもこれも買おうと考えているに違いない。


確かに魔物が多いからレベルも上がる。

俺は29、レイアは25、リワンは17になっている。

休憩しながら話し合い、明日もう1日採掘をする事にした。

採掘を適当な所で切り上げて、昨日キャンプした場所まで戻った。






馬車で1泊した後、昨日の採掘現場に向かった。

3人は全身から気合が溢れ出ている。

不敵な笑みを浮かべながら魔物を狩っていた。


今日も順調に鉱石を集めていたが、急にリワンが立ち上がって、耳をピクピク動かしながら鼻をクンクン鳴らし始めた。

今まで魔物を見つけていた時と、明らかに反応が違う。


「ご、ご主人様~、何かいます~」

「魔物か?」

「たぶん魔物です~、でも~でも~、、、」

「どうした?」

「う~ん、何か変なんです~」


首をかしげながら(うな)っているリワンを連れて、ヒトミ達と合流する。


「リワンの様子がちょっとおかしいんだ」

「どうしたのリワンちゃん?」

「変なのがいるんです~」

「魔物かしら?」

「わからないからちょっと確かめに行ってみるか?」

「そうね」

「リワン、場所を教えてくれ」

「はい~、あっちです~」


リワンの後に付いて行き、岩陰に隠れながら指さす方向に視線を向けた。


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