【11】—————解せぬ
「この人は私と一緒に魔法を勉強してたレイアさんです!」
「初めまして、レイアと言います」
「私が誘って連れてきたの。みんなで一緒に食べましょう」
凄い美人だ—————
ヒトミとリワンもかなり綺麗で可愛いけど、この人はちょっと次元が違う。
すらりとした長い手足に、スレンダーなスタイル。
青い瞳に色白の肌、腰まで届きそうな綺麗な銀髪。
【 レイア 89歳 Lv.24 エルフ 】
【 弓術 短剣 回避 受け流し 風魔法 水魔法 土魔法 光魔法 回復魔法 料理 解体 エルフ語 魔力増加 】
—————エルフ!?
顔をよく見てみると、少し尖った耳が見える。
スキルもたくさん持っているし、年齢も凄いな。
見た目はヒトミやリワンと同じくらいなのに、、、
「ちょっとあんた、何ジロジロ見てんのよ!」
ヒトミが俺の視線に顔を割り込ませてきた。
彼女の情報を見るのに夢中になってしまったようだ。
「すみません」
「いえ、大丈夫ですよ」
そう言ってレイアはニコッと微笑んだ。
・・・・・グッ!
—————凄まじい破壊力の笑顔だ
「レイア、この野獣みたいな男には気を付けなさい!」
「おい!」
こんな美人に何て事言いやがる!
俺とリワンも彼女に自己紹介をして、料理を食べながら話をした。
「レイアとは最後の2日だけ一緒だったの」
「はい、仲良くしてもらいました」
「レイアは凄く魔法が得意なのよ」
「ヒトミさん程ではありませんよ」
「そんな事ないわよ、私はあんなにたくさんの魔法使えないもん」
「転移魔法を覚えようとしているだけで凄いと思いますけど」
さすがヒトミ、たった2日でここまで仲良くなれるとは———
「転移魔法なんてそんなに難しくなさそうよ?」
「そんな訳ないじゃないですか!?」
「グッと魔力を集めて、パッとイメージするだけじゃない?」
「そんな簡単に魔法が発動するのはヒトミさんだけですよ、、、、、」
俺もそう思う、、、
グッとかパッとか、擬音だけで全てが上手くいく訳がない。
「レイアを宿まで送って行くわよ」
「レイアお姉さんはどこに泊まってるんですか~?」
「ここのすぐ近くですよ」
楽しく話しながら夕食を食べたからか、みんな気さくに話ができるようになっていた。
レイアを泊まっている宿の前まで送り、3人並んで宿に帰る。
「・・・・・凄い綺麗な人だったな」
無意識にボソッと声が出てしまった。
その瞬間、両側から腕をギュッとつねられた。
「いってぇ!」
「フンッ!」
「む~!」
—————解せぬ
◇
「さぁ、出掛けるわよ!」
「はい~」
魔法の講義が終わったヒトミも、今日から一緒に出掛ける事になった。
「最初にこの前約束した武器を買いに行きましょう」
「・・・・・はい」
馬車に乗って武器屋に向かい、ヒトミが持って来た1本の細剣を、涙を堪えながら購入した。
この前買った俺の剣より高い、、、
「ちょっとギルドに寄ってくれる?」
「何するんだ?」
「せっかくだからちょっと見てくる」
昼食を食べに移動している途中で、冒険者ギルドに寄った。
ヒトミがギルドに行っている間、特に用事の無い俺はリワンと一緒に外で待っていた。
たくさんの冒険者らしき人達が出入りしている。
「そこでレイアに会っちゃった」
「あ~、レイアお姉さんです~」
声がしたので振り返ると、ヒトミがレイアと一緒に戻って来た。
「昨日はごちそうさまでした」
そう言ってレイアが俺に頭を下げる。
今日も美人だ。
「今からみんなで一緒にお昼ご飯に行くわよ」
どうやらレイアはギルドでクエストを探していたらしい。
「明日、みんなでクエストに行こうよ」
「まだ帰らないのか?」
「もうちょっとだけこっちに居ようよ」
「・・・・・何泊増やすんだ?」
「宿に泊まるのは予定通り今日が最後よ」
「—————ん?」
「明日の朝にここを出発すれば夜までに目的地に着くから、馬車で1泊してクエストやるの」
「どんなクエストだ?」
「鉱石を取って来るの」
「鉱石?」
「そう、魔法の装備とかアイテムに使うみたいよ。需要が多いんだって言ってた」
「簡単そうだな」
「そうでもないみたいよ。PTじゃないと行くまでが大変なんだって。それに鉱石だから重いでしょ?」
「確かに、、、」
「でも私達にはアイテムボックスがあるし、レイアを入れれば4人PTになるし」
「そうだな」
「これなら楽勝でしょ!」
午後からは急遽、明日からのクエストの準備をする事になった。
俺とリワンは雑貨屋に、ヒトミとレイアは食料の調達に向かった。
その後でみんな一緒に夕食を食べた。
「明日の朝、迎えに行くから」
「わかりました、みなさんおやすみなさい」
「レイアお姉さん~、おやすみなさい~」
夕食後、レイアを宿まで送り、部屋に戻った。
ヒトミにクエストの説明を聞いた後で、リワンにガッチリ腕を捕まれて眠りについた。