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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
44/105

【10】—————チュッ


次の日もリワンと2人で、朝から夕方までひたすら魔物を狩り続けた。

隙を見て1人になろうとしたが、リワンが俺のそばを離れる事は無かった。


その次の日もリワンと2人で朝から魔物を狩り続けた。

さっきレベルが28になってしまった。

リワンのレベルは14になっている。


魔物を斬りながら考える—————


俺は一体何の為にメラゾニアに来たんだろう?

クエストの為か?

レベルを上げる為か?

いや、違う!

遊びに来たんだ!

そうだ、夜遊びの為だ!


あの日からこの数日間、俺は大人しくしていた。

そろそろ2人も油断し始める頃だ。

これだけ動けば、リワンも疲れているだろう。

夜はぐっすり眠ってしまってもおかしくない。

明日が魔法講義の最終日なんだから、ヒトミもその事で頭が一杯のはずだ。

今夜はチャンスなのかもしれない、、、





たくさんのアイテムと魔石を手に入れ、換金して宿に戻り、ヒトミの帰りを待ってから3人で夕食に出掛けた。


「ヒトミは明日で終わるんだよな?」

「ええ、そうよ」

「大丈夫そうか?」

「当り前じゃない!」

「じゃあ、明日は少しいい店で夕飯にしようか?」

「パーティーですか~?」

「まぁ、そんな感じかな」

「やった!」

「わ~い、楽しみです~」


夕食後、リワンを真ん中に3人で手をつなぎながら部屋に戻った。

部屋に入り、しばらくしてからベッドに横になる。


「リワン、今日は暑いから少し離れて手をつないで寝ようか?」

「む~、わかりました~」


リワンは少し不満そうな声で答えてから、ギュッと俺の手を握ってくる。

俺も軽く握り返して、目を閉じた。


そのままリワンが寝るまでひたすら待つ。

次第に手を握る力が弱くなり、可愛い寝息が聞こえてきた。


俺は静かに手を離し、寝返りをうつ振りをしてベッドの端まで移動する。

そのまましばらく様子をうかがい、ゆっくりベッドから出た。


「ご主人様~、どこに行くんですか~?」

「!?」


小声でリワンが話しかけてきた。

気付かれてしまった、、、


「・・・・・トイレに行って来る」

「いってらっしゃい~」


大嘘をつき、静かに部屋を出て、トイレの方に向かう。

そのままトイレを通り過ぎて角を曲がり、階段の方へこっそり歩いて行く。


「どこに行くのかしら?」

「!?」


驚いて振り返ると、腕を組んで仁王立ちのヒトミがこっちを見ていた。

—————いつの間に!?


「なんか目が覚めたから夜風に当たってくる」

「ふ~ん、そう?」


ヒトミは一瞬で俺に近付き、腕を捕まえて部屋の方へ引っ張って行く。


「リワンちゃんに離れて寝ようなんて言ってたから、おかしいと思ったのよ!」

「!?」

「まったく男って本当にどうしようもないんだから!」


部屋の前まで引っ張って行き、そこで立ち止まって振り返った。

そのままジッと俺を見つめる。


「・・・・・・・これで我慢しなさい」


小さな声で呟いて、俺の首に腕を回す。


—————チュッ


少し背伸びをして、俺の頬に軽くキスをしてきた。

そしてドアを開けた後、また俺の腕を引っ張って部屋に入って行く。


「おやすみ、あんたも早く寝なさいよ」


小声でそう言って、自分のベッドに入って行った。


こ、こいつは馬鹿なのか!?

こんな事をされたら、余計に眠れなくなるだろう!

そう思ったが、今からドアを開けて夜遊びに出掛ける勇気は俺には無い。

静かにベッドに入って横になった。


「おかえりなさい~」


リワンが俺の手を握ってきた。

返事代わりに軽く握り返し、ゆっくり目を閉じた。





「ご主人様~、おはようございます~」

「・・・・・ああ、おはよう」

「ヒトミお姉ちゃんはもう食堂に行きました~」

「じゃあ、俺らも行こうか?」

「は~い」


リワンと一緒に部屋を出て、食堂に向かった。

ヒトミの座っているテーブルに座り、朝食を注文する。


「・・・・・」

「・・・・・」


—————気まずい


心なしかヒトミの顔が少し赤くなっている。

気持ちはわからないでもないが、、、

無言のまま朝食を食べて、ヒトミはすぐに出掛けて行った。


「ご主人様~、今日はどうしますか~?」

「う~ん、まだ行っていない場所に行ってみるか?」

「は~い」


今日は馬車に乗っていろんな場所を見て回った。

特に観光名所みたいな所は無かったが、リワンはいろんな店に入って楽しそうに買い物をしていた。

最後に今日の夕飯を食べる店を決める。

お洒落で高そうな店だ。


部屋に戻ると、ヒトミがベッドでくつろいでいた。


「おかえり」

「ただいま~」

「早かったな」

「ええ、お昼過ぎに終わったわ」


どうやらヒトミはいつもの調子に戻っているみたいだ。

時間が経って落ち着いたんだろう。


「夕飯の店を探して来たから、今日はそこにしよう」

「リワンちゃん、ありがとう!」

「凄く綺麗なお店なんですよ~」

「楽しみ!」

「じゃあ、行くか?」

「あっ、ちょっと先に行っててくれる?」

「ん?別に待ってるけど」

「いいから先に行ってて」


ヒトミに店の場所と名前を伝えて、リワンと一緒に店に向かった。

一番奥のテーブルでリワンと話をしながらヒトミを待った。




「お待たせー」


しばらく待っていると、ヒトミが手を振りながらこっちに歩いて来た。

反対の手で後ろにいる誰かの手を引っ張っている。


—————誰だ?


俺は体を傾けて、ヒトミの後ろに目を向けた。


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