【08】ご主人様は俺なのに、、、、、
外の景色が夕焼けに染まって行く。
宿に帰り部屋でヒトミを待っていると、昨日よりも少し早く帰って来た。
「ただいま」
「おかえりなさい~」
「ふぅ、疲れた、、、」
「そんなに大変なのか?」
「座りっぱなしで疲れたの」
「講義みたいな感じか?」
「うん、退屈で眠くなったわ」
「ちょっと休憩するか?」
「大丈夫、行こう」
昨日とは違う店に入って夕食を食べる。
肉は昼に食ったから、俺は今日も魚料理にした。
2人は肉料理を食べている。
食事を食べて、涼しい夜風に当たりながら宿に戻った。
「リワンちゃん、今日は何を買ったの?」
「新しい武器を買いました~」
「どんな武器なの?」
「これだ」
「ご主人様がプレゼントしてくれたんですよ~」
「・・・・・ふ~ん」
俺はアイテムボックスから今日買ったリワンの武器を取り出してヒトミに渡した。
「こんなので殴られたら体に穴が開いちゃうわね」
そう言ってヒトミは俺の方をチラッと見た。
———ま、まさかリワンはこの武器で俺に無言のプレッシャーをかけているのか!?
俺は武器を取り返そうと、ヒトミの前に手を伸ばす。
「私が持ちます~、ご主人様ありがとうございました~」
武器はリワンの手に渡ってしまった、、、、、
受け取った武器をバッグの中に入れている。
「リワンちゃん、他には何をしたの?」
「武器を買ってからご飯を食べました~」
「何を食べたの?」
「とっても大きなステーキです~」
「・・・・・そうなんだ」
「2枚食べました~」
「・・・・・なるほどね」
ヒトミは俺の方をニヤニヤ見ながら、リワンに返事をしている。
ま、まさか俺の企みがバレているのか!?
「私もそろそろ武器を買い替えようかな?」
「・・・・・・・」
「買い替えようかな?」
「・・・・・それもいいかもな」
「私も買って欲しいな」
「・・・・・・・」
「買って欲しいな」
「・・・・・わかった」
「やった!」
「よかったですね~」
何でこんな浮気亭主の禊みたいな事をやらされてるんだ!
「そうだ!私もいろいろ行きたい所があるからもうちょっとここに泊まろうよ」
「何泊増やすんだ?」
「今のままだとすぐに帰らなきゃいけなくなるから、取り敢えず2泊」
「わかった、明日伝えとくよ」
「うん」
どんどん出費が増えていく、、、
—————何故だ!
アイテムボックスだけだったはずなのに、、、
宿に戻り、大人しく部屋でゴロゴロしていた。
とてもじゃないが、出掛けられる雰囲気じゃない。
「そろそろ寝ます~」
「そうね、私も今日は疲れたからもう寝るわ」
「ご主人様~、寝ますよ~」
リワンに腕を引っ張られてベッドに入った。
腕はしっかりロックされている。
「ご主人様~、おやすみなさい~」
「・・・おやすみ」
今日は諦めよう、、、
憂さ晴らしにリワンの胸に腕を押し付けて眠りについた。
◇
次の日も朝食を食べると、ヒトミはすぐに出掛けて行った。
今日はアイテムボックスが完成する日だ。
「今からアイテムボックスを取りに行って、それから防具を買いに行こう」
「は~い」
「昼飯を食べてからは自由行動だな」
「ご主人様はどこに行くんですか~?」
「ギルドに行ってクエストをやるよ」
「私も一緒に行きます~」
「俺に付いて来なくてもリワンのしたい事をしてていいぞ」
「はい~、ご主人様と一緒にいたいです~」
1人になれそうにない、、、
まるで首輪をつけられているみたいだ、、、
ご主人様は俺なのに、、、、、
魔法の道具屋で、店員さんにアイテムボックスの受け取りをお願いする。
「どちらの方が使われますか?」
「この子です」
「ではこちらにお願いします」
店員さんに連れられて、リワンは奥の部屋に入って行った。
その間に支払いを済ませ、歩きながら店内を見渡す。
いろんな属性の力が込められた武器や防具、魔法の威力や魔法防御力の上がるアクセサリー、魔力で光るランプなど、様々な商品が飾られていた。
せっかくだから何か買おう。
アクセサリーはこの前ヒトミがくれたから、このランプにしよう。
魔力で光るランプを購入し、リワンの帰りを待った。
「ご主人様~、お待たせしました~」
「じゃあ、行くぞ」
「は~い」
店を出て、防具屋に向かって歩いて行く。
「奥で何をやってたんだ?」
「え~と、私だけがアイテムボックスを使えるようにしてもらいました~」
「なるほどな」
「それと説明もしてもらいました~」
「使えそうか?」
「はい~、大丈夫でした~」
「防具を買ったら一旦宿に戻って、俺が預かってるリワンの荷物をアイテムボックスに移そう」
「はい~、わかりました~」
防具屋でチャイナドレスの上から付けれるような軽い鉄の胸当てと黒い革のブーツをリワンに買って、俺は鋼のプレートが付いた革の防具一式を買った。
「リワン、防具は自分で買った事にしなさい」
「何でですか~?」
「いいからそうしなさい」
「はい~、わかりました~」
俺がリワンに買ってあげたと知ったら、またヒトミがおねだりするかもしれない。
無駄な出費は避けなければ!
今日の昼も肉料理をを食べ、宿に戻ってからリワンに預かっていた荷物を渡す。
リワンはカバンから武器や服を取り出して、自分のアイテムボックに入れ直している。
問題なく使えているのを確認して、リワンと一緒に冒険者ギルドに向かった。