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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
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【06】ついにこの時がやって来た!


店員さんにアイテムボックスの作成をお願いしたいと伝えると2階に案内された。

教えてもらった受付に向かう。


「すいません、この子のアイテムボックスを作ってもらいたいんですが?」

「わかりました、こちらにお越し下さい」


店員さんの後ろに付いて隣の部屋に入って行く。


「ここでアイテムボックスの大きさをお選び下さい。決まりましたら先ほどの受付までお越しください」

「わかりました、ありがとうございます」


案内された部屋には、いろんな大きさの箱が置かれている。

何人かの人達が、真剣な顔で箱の前をウロウロしていた。

一番小さいのは一辺が20cm程度の立方体で、これは財布替わりに使う感じなのだろう。

逆に一番大きいのは6畳の部屋ぐらいの大きさで、見た事の無い金額の値札が付いている。


「リワン、どれにする?」

「ご主人様が決めて下さい~」


俺はリワンと一緒に箱の前を歩きながら考えた。

実用性を考えつつ、財布とも相談しないとな。


「これにしようか?」

「はい~、大きいですね~」


俺が選んだのは一辺1mぐらいの大きさの箱だ。

リワンは大きいと言っているが、小さい方から数えた方が早い程度の大きさだ。

これなら自分の持ち物を入れられるくらいの容量はあるし、値段も問題ない。

いつか小さくなったら拡張すればいいだろう。


さっきの受付に戻り、大きさを伝えてアイテムボックスの作成をお願いした。


「どれくらいで出来上がりますか?」

「明後日には出来上がると思います」

「わかりました、よろしくお願いします」


作成依頼の手続きを終わらせて、店を出る。

思っていたよりも早く作れるんだな、2日で出来上がるとは思わなかった。


「じゃあ、宿に戻るぞ」

「は~い」


馬車に乗って宿に戻ったが、ヒトミはまだ帰って来ていない。

このままゆっくり待つとしよう。




少し薄暗くなってきた頃、ヒトミが帰って来た。


「ただいま」

「おかえりなさい~」

「ちょっと遅くなっちゃった」

「いや、大丈夫だ」

「夕食にする?」

「そうだな、どこか食べに行こう」


飲食店は宿の周りにあるので、みんなで歩いて行った。

どの店も人がいっぱいだ。

小洒落た店を避けて、食堂みたいな小さな店に入る。


「魔法はどうだった?」

「明日から教えてもらってくる」

「どれくらいかかる?」

「一番短かった5日間のコースにした」

「そんなに早いのか!?」

「5日間のコースだと、最低限の事だけ教えるから、後は頑張ってねって感じかな?」

「そんなんで大丈夫なのか?」

「当たり前じゃない!私を誰だと思ってんのよ!」


大きな胸を反らせて、得意げに胸をポンッと叩いている。

叩いた衝撃でぷるんっと少し揺れていた。


「それじゃあ、宿に戻ったら5泊に変更しておくか」

「そうね」

「こっちは明後日には出来上がるって」

「そんなに早いの?」

「俺もビックリした、チャイナドレスより早く作れるとは思わなかった」


俺とヒトミは魚料理、リワンはもちろん肉料理を食べている。

夕食後、部屋に戻って明日の予定を考えてみた。


「リワン、明日は俺と一緒に出掛けるか?」

「わ~い!」

「いろいろ見て回って買い物でもしよう」

「楽しみです~」

「ヒトミ、昼飯はどうする?」

「私はどこかで食べるわ」

「じゃあ、今日みたいに夕方になったら宿に来てくれ」

「わかった」


人ごみに疲れたのか、2人は少し眠そうにしている。

馬車で少し仮眠した俺はまだまだ大丈夫だったが、2人と一緒にベッドに入った。

昨日からリワンが強めに抱きついてくるようになってしまった。

今日も優しく頭を撫でてやる。




2人が寝静まったのを確認し、リワンの腕を外して静かに部屋を出た。

ついにこの時がやって来た!

この為にメラゾニアに来たと言っても過言ではない!

アイテムボックスなんか二の次だ!


宿で夜のお店の場所を教えてもらい、馬車に乗り込む。

数はだいぶ少なくなったが、こんな遅い時間でもまだ走っているとは、、、

俺みたいな人間が多いんだろう。


教えられた場所で馬車を降りて、辺りを散策する。

それっぽい店がたくさん並んでいる。

さすがにこれだけ大きな町だと店も選び放題だ。

一通り見て回った後で、一番扉の大きかった店に入った。




そして—————


至福の時を過ごした俺は、ほどよい疲労感と共に部屋から出た。

階段の下でお姉さんにギュッと強く抱きしめられ、頬に軽くキスをされた。

ニコニコしながら俺に手を振るお姉さんに、後ろ髪を引かれながら店の外に出た。


スキップしそうになる足を抑え込み、静かに歩いて部屋に向かう。

明日も絶対行こう!

そう心に強く誓って、ゆっくり部屋のドアを開けた。


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