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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
39/105

【05】2、3、5、7、11、13、、、、、、、、


「今日はここでキャンプをしよう」

「「は~い」」


少し早めに馬車を止めて、キャンプの準備をする。

今日は朝早く出発したから、少し早くても問題無いだろう。


リワンを元気づける為か、いつもより多くの肉を使った料理が出て来た。

リワンはそれを幸せそうに口に放り込んでいる。


「明日は余程遅くならない限りは、メラゾニアまで行くからな」

「わかりました~」

「まぁ、大丈夫だろうけど」

「少し早めに着きそうね」


馬車に入り、マットの上に寝転がって眠りにつく。

リワンもいつものように俺の腕に抱き付いているが、ちょっと力が強い気がする。

たぶん今日の魔物の事が気になっているんだろう。


俺は体をリワンの方に向けて、優しく頭を撫でてやった。

するとリワンは目を開けて、俺の目の前でニコッと可愛く微笑んだ。

そのまま俺の肩に頬をつけて、スリスリしている。


—————うぐっ!


俺は慌てて体を戻し、目をつむる。

2、3、5、7、11、13、、、、、、、、

頭の中を素数で埋め尽くし、モヤモヤを吹き飛ばす。


我慢しろ!後一日の辛抱だ!


必死になって素数を数え続けていたら、空が少し白んできた、、、





「ご主人様~、朝ですよ~」


リワンに優しく体を揺らされて目を覚ます。

ほとんど眠れなった———

もちろんリワンが原因だ。

起き上がって馬車の外に出ると、ヒトミは朝食を作り終えていた。


「よく寝てたわね」

「ああ、昨日なかなか寝付けなくてな、、、」

「私はたくさん寝れました~」

「私もぐっすり眠れた」


—————眠い、、、


「今日は私が馬車を操縦します~、ご主人様は休んでて下さい~」


リワンの言葉に甘えて、馬車の中で横になる。

わかってはいたが馬車の揺れが大きく、寝心地は良くない。

御者台で楽しく話をしている2人の声を聞きながら、無理やり目を閉じた。




「ご主人様~、お昼ご飯ですよ~」


リワンに声を掛けられて目を開けた。

どうやらちゃんと寝れていたらしく、気怠(けだる)さが無くなっている。


寝起きなのに、ちゃんと食欲もある。

完全に復活した!

若いって素晴らしい!


「リワン、ありがとう。昼からは俺が操縦な」

「はい~」


朝は寝てたから気が付かなかったが、たくさんの馬車とすれ違った。

メラゾニアが近いのだろう。




しばらくすると遠くに外壁が見えてきた。

門からは順番待ちの馬車の列が伸びている。

その馬車の列に加わり、改めて外壁を見上げた。

今まで見た事のある外壁とは比べ物にならない大きさだ。


「凄いな」

「凄いわね」

「凄いです~」


外壁の巨大さと迫力に全員が驚いている。

門の向こうには、通りを走っている馬車が小さく見える。

町中での移動も、馬車を使っているみたいだ。

これだけ広いと、歩いてどうにかなるもんじゃないのだろう。

検問を終え、教えてもらった場所に馬車を預け、近くの宿で3日分の部屋を取った。


「これからどうするの?」

「どこに何があるかわからないから、ギルドで聞いてくる」

「魔法を教えてくれる所と、アイテムボックスを作ってくれる所ね」

「時間があったら今日中に頼んでおきたいからな」

「私も今日中に行っておきたいな」


宿の人にメラゾニアでは無料で乗れる馬車が、町中を巡回していると教えてもらった。

先に着替えてから外に出て2人を待っていると、ヒトミがリワンに貰ったワイン色の帽子をかぶって出て来た。

リワンはその横でニコニコしている。


しばらくすると、宿の前に10人くらいが乗れそうな、赤い屋根の馬車がやって来た。

みんなでそれに乗り込み、冒険者ギルドに向かった。


町にはかなりの数の巡回馬車が走っている。

これだけの馬車が無料で走っているという事は、この町はかなり潤っているんだろう。

門の外から見えていた馬車は、この巡回馬車だったようだ。

大通りですれ違う馬車のほどんどが、今乗っている馬車と同じ造りをしている。

普通の馬車も走っているが数は少ない。

お偉いさんが乗っているんだろうか?


一際大きな白い建物が見えてきた。

冒険者ギルドは全部白い建物って決まっているんだろう。

その前で降りて、建物の中に入って行った。

1階には受付らしき窓口が無く、至る所にボードが建てられていて、そこにクエストの用紙が貼り付けられている。

2階に上がり、案内のお姉さんにアイテムボックスを作ってくれる場所を教えてもらった。

ヒトミも隣で話を聞いている。


「どうだった?」

「教えてもらったわよ、魔法の学校みたいなのがあるんだって」

「アイテムボックスは魔法の道具屋で作ってくれるらしい、場所も聞いたから今からちょっと行ってみる」

「私も行って来るわ」

「夕方になったら宿に戻るから、それくらいになったらヒトミも戻って来てくれ」

「わかった」


俺はリワンと一緒に道具屋に向かう事にした。

ヒトミは先に来た青い屋根の馬車に乗り込んで行ってしまった。

俺はリワンと一緒に黄色い屋根の馬車に乗り込み、教えてもらった場所で馬車を降りる。


迷子にならないようにリワンと手をつなぎ、魔法の道具屋に向かった。

俺もリワンもキョロキョロ辺りを見回している。

この一帯は冒険者向けの店が立ち並んでいて、たくさんの武器屋と防具屋があった。

その通りの一番奥にある建物の前で立ち止まる。


「ここみたいだな」

「わぁ~、大きいですね~」


扉を開けてリワンと一緒に中に入って行った。


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