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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
38/105

【04】完璧な受け答えだ!


ヴァルアの町を出て4回目の朝だ。

ここまでは遅れも無く、予定通り旅が出来ている。

たまに魔物が出るが、襲撃される前にリワンが見つけるから何も被害は出ていない。


3回キャンプをしたが、夜に魔物が襲って来る事は無かった。

もう魔物避けの薬草は手放せない。

今日は町に泊まり、明日1日キャンプをすれば、明後日にはメラゾニアに到着するだろう。

今はリワンと交代で馬車を走らせている。

リワンもかなり操縦に慣れたみたいだ。




薄暗くなってきた頃、町が見えてきた。

メラゾニアが近いからか、この町はヴァルアよりも少し大きな町だ。

門番の検問を受けて町に入り、馬車を預けてみんなで泊まれる宿を探す。

ツインの部屋を取った後、外に出て店を探した。

町の中心に向かって歩いて行くと、冒険者ギルドが見えてきた。

その前には屋台が出ている。


「今日は屋台で何か買って食べようか?」

「たまにはいいわね」


屋台で大量の肉串を購入し、食べながら町を歩いた。

武器屋や防具屋などの店が立ち並んでいる。

しばらく歩いてから小さな店に入り、ジュースを飲みながら少し休憩した。


「明後日にはメラゾニアに着きそうだな」

「ええ、もうちょっとね」

「じゃあ、明日はいつもより少し早く出発するぞ」

「「は~い」」

「メラゾニアに着いたら取り敢えず3日分の宿を取るか?」

「私の魔法もリワンちゃんのアイテムボックスも何日かかるかわからないもんね」

「足りなかったら追加しよう」

「そうね」

「そういえばヒトミは何の魔法を覚えるつもりなんだ?」

「言って無かったっけ?」

「たぶん聞いてないな」

「転移魔法よ」

「それって好きな場所に移動できる魔法か?」

「さぁ?どんな魔法か教えてもらう所から始めるわ」


もし好きな場所に移動できる魔法なら俺も覚えたい。

まぁ、覚えるかどうかはヒトミに話を聞いてからでいいか。




店を出て、宿に戻る。

武器屋と防具屋の明かりはもう消えていた。

部屋に戻って少し早めに布団に入った。


2人が寝静まったのを確認して、ゆっくり起き上がり部屋を出た。

壮大な野望の為に今日も散歩だ。


ここならもしかしたら目当ての店があるかもしれないと思い、さっきは通らなかった道を歩いて行く。

しばらく歩き続けたが、明かりが付いている店は飲食店だけだった。

残念だがしょうがない。

楽しみが先に延びただけの話だ。


宿に戻って布団に入り、隣で眠っているリワンを見た。

寝息を立てて完璧に寝ているように見えるのに、これでも俺が出掛けた事に気付いているとは、、、





「少し早いけど行くか」

「「は~い」」


翌朝、2人は少し眠そうだったが余裕を持って早めに出発した。

宿の朝食はまだ食べれなかったので、馬車に揺られながら手持ちのパンとジュースで朝食を済ませる。

足りなかったら休憩の時に何か軽く食べよう。


「ご主人様~、昨日の夜も散歩ですか~」

「ああ、そうだ」

「散歩は楽しいですか~?」

「フラフラ歩いてるだけだぞ」

「店には入らなかったの?」

「入ってないな。酔っ払いしかいない店には入りたくないからな」

「それもそうね」


完璧な受け答えだ!

これなら一緒に行くなどと寝言を言う事もないだろう!

何回シミュレーションしたと思っている!

これで俺の勝利は揺るぎないものとなったのだ!


上機嫌で馬車を走らせていると、隣に座っていたリワンが俺の袖を強く引っ張ってきた。


「ご、ご主人様~、魔物が来ます~!」


いつもより慌てた様子でグイグイ袖を引っ張ってくる。


「どうしたんだ?大丈夫か?」

「あの時の大きな鳥さんの魔物と同じ匂いがします~」


なるほど、リワンと最初に会った時のあの魔物か—————


「どっちにいるんだ?」

「あ、あっちです~」


俺にしがみつきながら正面の岩を指さした。


「ヒトミ」

「何?」

「あいつは口から炎を吐く。もし炎がこっちに来たら頼む」

「わかったわ」

「じゃあ、行って来る」

「ご主人様~、ここにいて下さい~」

「すぐ終わるから大丈夫だ」

「・・・・・怖いです~」


リワンは俺の腕にしがみついたまま離れない。


「私が行って来るから、あんたはここにいて」


そう言い残して、ヒトミは馬車を飛び降りて行った。

俺は馬車を止めて、リワンの頭を撫でながら岩の方を眺めていた。


しばらくすると黒い影が岩陰から飛び出した。


【 アズダルコ Lv.17 魔物 】【 火炎攻撃 爪攻撃 】


この前の奴より少しレベルが低い。

魔物の情報を確認したと同時に火の玉が当たり、黒い霧となって消えてしまった。


もう倒したのか、、、


魔物が消えたのを確認して、馬車を発進させる。

戻って来たヒトミは、いつものようにピョンと馬車に飛び乗ってきた。


「ヒトミお姉ちゃん、ありがとうございます~」

「どういたしまして」


ニコッと笑いながら、ヒトミはリワンの頭を撫でている。

しばらくするとリワンも落ち着いたのか、いつもみたいにニコニコ笑ってヒトミと話を始めた。


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