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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
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【02】—————これは由々しき事態だ


俺はリワンと一緒に馬の世話を始めた。

飼い葉や水などを与え、蹄を掃除してブラッシングを行う。

1頭の世話をやって見せて、もう1頭はリワンと一緒に世話をした。

馬を木に繋ぎ、その後で馬車を点検する。

車輪は特に問題なさそうだ。


ヒトミは夕食の準備をしている。

アイテムボックスからレンガを取り出して積み上げ、かまどを作っている。

テーブルと椅子を取り出して食器を並べた後、リワンと話をしながら夕食の出来上がりを待った。

話の中でリワンが馬車の操縦をしたいと言うから、明日から少しずつ教える事になった。


夕食を食べ、かまどの中に虫除けと魔物避けの薬草を放り込む。

ここでも効果があるかどうかわからないが、何もしないよりはいいだろう。

暗くなってきたので馬車に戻った。


ヒトミは光魔法で明かりを付けて、リワンと一緒に明日の献立の話をしている。

リワンと飯の話をしたって、肉料理としか言わないだろうに、、、

俺は特にやる事も無いのでゴロゴロしている。

こういう時に何か時間を潰せる遊び道具が欲しい所だ。


「2人は眠くなったら寝ていいからな」

「あんたは寝ないの?」

「さすがに見張りをしないとマズイんじゃないか?」

「さっき魔物避けの薬草を使って無かったっけ?」

「いまいち信用できないんだよな、、、」

「大丈夫ですよ~、魔物が来たら私が教えます~」

「寝ててもわかるのか?」

「はい~、魔物でも動物でも近くに来ればわかります~」

「大丈夫か?」

「大丈夫です~」


リワンは自信ありげに胸を叩いている。


「わかった、何か近づいて来たらすぐに起こしてくれ」

「は~い、お任せ下さい~」


一応カーペット替わりの布は敷いてあるが、このまま寝ると体が痛くなりそうなので、キャンプで使った大きなマットを取り出してその上で寝る事にした。

俺は万が一の事を考えて、完全に眠ってしまわないように気を付けよう。





「ご主人様~、起きて下さい~」

「・・・・・ん?魔物か?!」


リワンに起こされて慌てて飛び起きた。


「違います~、朝ですよ~」


眠ってしまわないように気を付けていたつもりだったが、途中から熟睡してしまったらしい。

長時間の馬車の操縦で、思っていたより疲れていたのかもしれない。

ほとんど座ってただけなのに、、、

辺りはすっかり明るくなっていた。


「昨日の夜は大丈夫だったか?」

「はい~、何も来ませんでしたよ~」


魔物避けの薬草が効いたのか、魔物の襲撃などは無かったみたいだ。

俺が思っているよりも優秀な薬草なのかもしれない。




2日目も順調に旅は進み、昼過ぎに小さな村に到着した。

町中では普通の服を着るようにリワンに言っておいた。

チャイナドレスだとちょっと目立ってしまう。


馬車を預けて、みんなで泊まれる宿を探した。

3部屋取ろうと思ったが、リワンが俺と一緒に寝ると駄々をこね、ヒトミもリワンと一緒がいいと文句を言うから、結局ツインの部屋を借りる事になってしまった。

1人でのんびりゴロゴロしたかったのに、、、


「夕飯までは自由時間にしよう。俺は少し仮眠するから、時間になったら起こしに来てくれ」

「はい~、わかりました~」

「リワンちゃん、行こう!」

「ご主人様~、行って来ますね~」


ヒトミとリワンは出掛けて行った。

きっと村をいろいろ見て回るんだろう。




ベッドに横になりながら、俺は少し考えた。

もしかしたらこの旅行の間、ずっとツインの部屋に泊まる事になるのか?


—————これは由々しき事態だ


今回は俺が折れて部屋を変えてしまったが、それは大きな間違いだったのかもしれない。

この先、ずっと3人一緒の部屋で泊まる事になってしまいそうだ。


今日みたいに小さな村で泊まる時は別に構わない。

しかしメラゾニアのような大きな町には、夜のお店があるに違いない。


レベル68のヒトミと《気配感知スキル》を持つリワン。

2人に気付かれずに部屋を抜け出し、夜遊びして帰って来るという超難解ミッションを成功させる事が出来るのか?


考えろ!考えるんだ!


強引に理由を付けて3つ部屋を取るか?

もしくは気配を消すスキルを身に付けるか?

それとも開き直って娼館に行くと宣言して出掛けるか?


いかんいかん!

考えるのは仮眠をして頭をスッキリさせてからだ。

昨日は魔物が気になってあまり寝れなかったから頭が回らない。

3つ目の案なんか即却下だ!


まだメラゾニアに着くまで5日ぐらいかかるはずだ。

それまでに何か対策を考えなければ!


—————よしっ、寝るぞ!




目を開けると外はまだ明るかった。

2人もまだ帰って来ていないから、いい感じに少しだけ仮眠できたみたいだ。

体を起こして伸びをする。

俺も出掛けようかと考えたが、入れ違いになると悪いから大人しくベッドでくつろいでいた。


しばらく待っていると、2人がワイワイ騒ぎながら帰って来た。

村を散歩しながら、食材も買い足していたらしい。


「そろそろ行くか?」

「はい~」

「お店は探してあるからそこにしましょう」


腹が減ってきたので、夕食を食べに出掛けた。

美味しい料理との出会いを期待して、店に入って行った。


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