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異世界ナラティブ  作者: SW
第三章
35/105

【01】気合十分だ!


「ご主人様~、朝ですよ~」

「・・・・・う~ん」

「ご主人様~、起きて下さい~」


リワンに肩をバシバシ叩かれて目が覚める。

リワンは何か楽しみな事がある日は俺より早く起きる。

やはり外はまだ少し暗い。


「リワン、おはよう」

「おはようございます~、ご主人様~」


起き上がって、顔を洗う為に台所に向かうと、ヒトミが朝食を作っていた。

ヒトミも楽しみな事がある日は起きるのが早い。


「おはよう、ヒトミ」

「おはよう」

「・・・・・・・・」

「・・・何よ?」

「いや、何でもない」


余計な事を言って初日から機嫌を悪くさせる事はしない。

これは前回、学んだ事だ。


「結構長い間留守にするけど家は大丈夫か?」

「盗まれたら困るような物は置いてかないし、家が無くなってなければ大丈夫よ」

「リワンも忘れ物をするなよ」

「は~い」




朝食後、着替えて家を出る。

ヒトミは動きやすそうな軽装だが、リワンは昨日渡したチャイナドレスを着ている。

気合十分だ!


先に2人を町の出口に行かせて、俺は預けている馬車を取りに行った。

お礼を言って、馬車に乗り門に向かう。

2人の前で馬車を止め、後ろから小さな踏み台を降ろして2人を乗せた。


「結構大きな馬車ね」

「すごいです~」

「じゃあ、PTを組んでから出発するぞ」

「「は~い」」


2人とPTを組み、元気のいい返事を聞いて馬車を出す。

馬車の揺れに慣れるまで、最初はゆっくりと走らせて行った。


「結構揺れるのね」

「道もそんなに舗装されてないし、サスペンションとかも付いて無いからな」

「車輪も普通の木だもんね」

「ああ、乗り心地は良くないぞ」


最初は馬車の中で話をしていたが、今は前に来て御者台から顔を出して景色を眺めている。


「景色が見たいならこっちに座るか?3人くらいなら座れるぞ」

「うん、そこにも座ってみたい」

「私も座りたいです~」

「今動くと危ないから、休憩の時にな」


しばらく走らせると、馬車を止めるのに丁度いい場所があったので、ここで休憩する事にした。

馬車を止め馬を木に繋ぎ、水を与え休息を取らせる。

2人も馬車から降りて体をほぐしている。

まだそんなに町から離れていないし、見渡しもいいからか、ここまで魔物は出ていない。


草原を少し散歩し、お茶を飲んでくつろいだ後で馬車に乗り込み出発した。

今度はみんなで御者台に座った。

俺が真ん中に座り右にヒトミ、左にリワンが座っている。


「馬車の中よりこっちの方が楽しいです~」

「そうか?」

「確かにこっちの方が気持ちいいわね」


2人はすれ違う馬車に手を振ったり、辺りを見渡しながら景色を眺めたりと楽しそうだ。




昼食を食べ、馬車の中で寝転がって少し休憩した後、再び馬車を走らせる。

しばらくすると道が二手に分かれていた。

地図通りに林の方に伸びていく道に進路を取る。

道は広いが両側に樹が立ち並んでいて薄暗い。

道も少し悪くなった。


「ご主人様~、少し先にオオカミさんがいます~」


林の中を走っていると、俺の袖を引っ張りながらリワンが話しかけてきた。

リワンは鼻をクンクンさせながら、前方を指さしているが俺には何も見えない。


「魔物か?」

「はい~、この匂いはオオカミさんです~」

「そこまでわかるのか?」

「オオカミさんは戦った事があるのでわかります~」

「リワンちゃんは魔物を見つけるのが凄く上手なのよ」

「えへへ~、ありがとうございます~」


———これがリワンの持っている《気配感知スキル》か。


「何匹いるかわかるか?」

「はい~、5匹です~」

「魔物が見えたら私とリワンちゃんで倒しに行くから、あんたはそのまま馬車を守ってて」

「わかった」


しばらく馬車を走らせると、林の中に狼の魔物が見えてきた。

魔物の情報を確認してみる。


【 ニンブルウルフ Lv.5 魔物 】【 牙攻撃 爪攻撃 】


この魔物ならレベル9のリワンでも大丈夫そうだ。


「リワンちゃん、行くよ!」

「はい~」


2人は馬車を飛び降り、そのまま魔物に向かって走って行った。

ヒトミがあっと言う間に4匹を切り刻み、リワンも1匹を蹴り飛ばして倒してしまった。

魔物を倒し終えると、そのままダッシュで馬車に戻って来た。

ピョンとジャンプして、尻からドスンと元の位置に着地して、俺の頭の上でハイタッチをしている。


「おいおい、馬がちょっと驚いてたぞ」

「飛び乗るとちょっとお尻が痛いわね」

「はい~、もうちょっと椅子を柔らかくしたいです~」

「周りに木が無ければ魔法で燃やしちゃうんだけどなぁ」

「そうだな」

「足から着地すれば静かに乗れるから、次はそっちでやってみるわ」

「私もやってみます~」




魔物を倒しながら林を抜け、そのまま進んで行くとなだらかな斜面の草原に出た。

少し道から離れて、見晴らしのいい場所まで登って行く。


「今日はここでキャンプにしようか?」

「「は~い」」


馬車から降りてみんなでキャンプの準備を始めた。



—————1日おきの更新になります


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