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異世界ナラティブ  作者: SW
第二章
32/105

【幕間】宿屋の主人


俺はヴァルアの町にある宿屋の主人だ。


名前?

ベンだ。

いいか、よく覚えておくんだ!

絶対忘れるんじゃないぞ!


容姿?

少し腹が出て来たが、昔はいい男だったと思っている。

疑っているな?

嫁がいるんだからそんなに悪くはないはずだ!




「すいません、ここで乗馬を教えてもらえると聞いて来たんですが、、、」

「そうだ」

「お願いできますか?」

「ああ、いいぞ」


この客を部屋に案内して詳しい話を聞いた。




ん?

宿屋じゃないのかって?


こんな小さな町じゃ宿屋の収入だけで食ってくのは大変なんだ。

宿屋兼食堂といったところだな。

母ちゃんが食堂をやっている。

(さいわ)いにも少し土地があるから、そこで乗馬を教えたり、冒険者連中の馬や馬車を預かったりしてるのさ。


この黒髪の小僧は冒険者らしい。

その割には謙虚な奴だな。

冒険者ってのはもっと横柄な態度の連中なんだがな、、、

若いからだろう。


乗馬を習うって事は少し遠出を考えているんだろうな。

無茶をするような奴には見えんから大丈夫だろう。

まだまだ貧弱な装備だがしっかり手入れされている。

職業柄、いろんな冒険者を見てきたが、装備をしっかり手入れする奴は長生きするもんだ。




「明日からお願いできますか?」

「ああ、構わないぞ。時間は?」

「そうですね、、、午前中でいいですか?」

「わかった、明日の朝になったら来てくれ」

「はい、よろしくお願いします」


小僧は頭を下げて帰って行った。

最後まで謙虚な奴だった。





今日から小僧に乗馬を教えている。

午前中の宿屋の仕事は母ちゃんに任せてある。


朝は掃除が多いから、乗馬を教える事になって楽が出来ると俺は喜んでいた。

だがそれは間違いだったようだ、、、


この小僧、恐ろしく乗馬のセンスが無い!

こんな奴は初めてだ!

これなら雑巾がけの方が楽だったに違いない!


馬の上で剣を振ったり、槍で突いたりは出来そうにない。

こんなんじゃあ、馬を斬っちまうぞ!

いや、その前に落馬だ!


だが唯一、馬の世話だけは出来た。

これだけはなかなかの腕前だ。

馬に気を使いながら、細かな作業もしっかりやっている。

気持ちよさそうな馬を見ればわかる。

こういうのは生まれ育った環境が物を言うのだろう。

大したものだ!

俺も見習わなければ、、、





数日後、小僧は乗馬の訓練を終えて帰って行った。

今日からまた宿屋の仕事だ。

朝の掃除も久しぶりだ。


「あんた、ちょっとこっち来な」

「なんだ?」


俺は母ちゃんに呼ばれて客室に向かった。


「今日はちゃんと隅まで掃除できてるじゃないか!」


どうやら俺も小僧から教わっていたようだ。


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