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異世界ナラティブ  作者: SW
第二章
25/105

【13】汚いなさすがヒトミきたない


「ご主人様~、朝ですよ~」

「・・・・・う~ん」

「ご主人様~、起きて下さい~」


リワンに体を揺すられて目を開ける。

———まだ少し暗くないか?

窓から見える外の景色は、朝というより早朝という方が正しく思える。


「ご主人様~、おはようございます~」


俺が目を開けたことを確認すると、リワンはニコッと笑顔になった。


「リワン、まだ早くないか?」

「もう朝ですよ~、起きて下さい~」

「わかった、起きるよ。でもヒトミはまだ起こすんじゃないぞ」

「ヒトミお姉ちゃんはもう起きていますよ~」

「えっ!?」

「今、朝ごはんを作ってます~」


体を起こし、台所の方を覗き込むと、朝食を作っているヒトミの姿が見える。

起き上がって、顔を洗うために台所に向かった。


「ヒトミ、何でこんな朝早く起きてるんだ?」

「べ、別に早くないじゃない!普通よ、普通」

「・・・もしかしてキャンプが楽しみでこんな朝早く目が覚めたのか?」

「ち、違うわよ!」

「・・・・・」

「何よ!早く顔を洗ってシャキっとしなさいよ!」


頬を赤く染めながら、芋の皮を投げつけてきた。

ツンツンしやがって!

ヒトミもリワンに負けないくらい楽しみにしてたとは気が付かなかったな。




「今日も暑くなりそうだな」

「ええ、いい天気になりそうね」

「はい~、すごく楽しみですね~」

「川だから夜になると少しは涼しくなるだろう」


昨日、部屋に氷を置くことで涼しくならないか試したのだが、気休め程度にしかならなかった。

やはりもう少し工夫しなければならないようだ。


「川は遠いのか?」

「そんなに遠くないですよ~」


朝食後、少しゆっくりしてから出発の準備をする。

持ち物はアイテムボックスに全部入れてあるので、準備といっても着替えるだけだ。

短パンとシャツに着替える。

これなら川に着いてシャツだけ脱げば、すぐに泳ぐことができる。


家を出てギラギラした日差しの下、川に向かって歩いて行く。

リワンは尻尾をブンブン振り回しながら、ヒトミと手をつないで楽しく話している。




森に入り、襲ってくるウサギや鳥の魔物をサクサク倒しながら獣道を進んで行くと、川が視界に入って来た。

綺麗な水がゆったりと流れている。幅は20m程で真ん中辺りは結構深そうだ。


テントを取り出して木陰に設置し、シャツを脱いでジャバジャバと川の中に入って行った。


くぅ~、最高だ!


炎天下の中、ここまで歩いて来た甲斐があった。

水面にプカプカ浮かびながら体を大の字に広げ、青い空を見上げていた。


「ご主人様~、気持ちいいですか~?」

「ああ、冷たくて気持ちいいぞ」

「私も泳ぎます~」


そう言ってリワンが服の(すそ)に手をかける。


「ちょ、ちょっと待ちなさい!」


慌てて叫んだヒトミがリワンの腕を引っ張って、テントの中に引きずり込んだ。


—————あのお邪魔虫め、余計な事をしやがって!


騒がしかったテントの中が静かになると、中からリワンがニコニコしながら飛び出してきた。

上下ピンクのシャツとショートパンツに着替えている。

そのまま川に飛び込んで俺の所に歩いて来た。


「冷たくて気持ちいいですね~」

「その服どうしたんだ?」

「ヒトミお姉ちゃんに貰いました~」

「それを着て泳ぐのか?」

「はい~、泳ぐ時にこれを着たらお肉をたくさんご馳走してもらえるんです~」

「・・・・・」

「ご主人様~、どうかしましたか~?」

「いや、なんでもない。よかったな、リワン」

「はい~」


———食い物で釣るとは、、、

汚いなさすがヒトミきたない


しかもこの服、、、

透けもしないし、体に張り付きもしない。

悪い意味でよく出来ている。


同じような上下赤色の服を着たヒトミがテントから出て川辺からこっちを見ている。

してやったりのドヤ顔だ。

そのまま川に入り俺の近くに来た。


「俺の楽しみを返せ!」


そう言ってヒトミの顔に水を掛ける。


「あんたの思い通りにはさせないって言ったでしょ!」


ヒトミも俺の顔に水を掛け返す。


「食べ物で釣るのは卑怯だぞ!」

「うるさい!」


お互い水を掛け合いながら、バチバチと火花を散らせる。


「楽しそうです~、私もやります~」


リワンが両手ですくった水を俺とヒトミに掛けながら近寄ってくる。

しばらくの間、3人で水を掛け合って遊んでいた。


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