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異世界ナラティブ  作者: SW
第二章
17/105

【06】—————殺気!?


「ただいま」

「おかえり。思ってたより早かったわね、旅行は楽しかった?」

「ああ、いろいろ大変だったけど楽しかったぞ」

「ちゃんとお土産は買ってきた—————って、あれ?後ろに誰かいるの?」


ヒトミは椅子に座ったまま顔だけ玄関に向けて話していたが、俺の背中に隠れているリワンを見つけ、体を倒して覗き込んでいる。


「キャーーー!可愛いー!」


一瞬でリワンに飛びついたヒトミが犬耳を触りながら頭を撫でまわしている。

リワンは真っ赤な顔でうつむいたまま微動だにしない。


「この犬耳すっごい可愛い!・・・・・・・ん?」


キャーキャー言いながらリワンを撫でまわしていたヒトミが急に静かになった。

それと同時に周りの空気が冷たく変わる。


—————殺気!?


すさまじい殺気を感じ、俺は反射的に後ろに飛んで身構える。

前を見るとヒトミが俺を(にら)みつけていた。


「このド畜生がァーーーーーーッ!この娘、奴隷じゃないの!まさか奴隷を買ってくるなんて!こんな可愛い子に何をさせるつもりなのよ!」


剣を抜いてヒトミが斬りかかってきた。


「落ち着け!誤解だ!」

「うるさーーーい!」


攻撃をかわしながら説得するが全然話を聞いてくれない。

塀の角に俺を追い詰めると、ヒトミは剣を構えたままジリジリ近づいてくる。

すると向こうでビクビクしながら見ていたリワンがこっちに走ってきた。


「ダメ~!ご主人様をいじめないで~!」


ギュッと俺の腕に抱き着いてヒトミを見ながら叫んでいる。

腕に当たる幸せな感触を楽しみながら俺も説得を続ける。


「ご、ご主人様!?なんて呼ばせ方してんのよ!」

「俺が言わせてるんじゃない!落ち着け、とにかく話を聞け!」


しばらく俺達を見つめた後、ヒトミは剣を収めた。


「・・・・・わかった。聞くだけ聞いてあげる」


そのまま家の中に入って行く。

ビクビクしているリワンの頭を撫でながら、俺達も家の中に入った。

椅子に座って事の成り行きを説明する。


「リワンちゃんの主人はあんたになったんでしょ?何で奴隷から解放してあげないのよ!」

「・・・・・断られた」

「私はこのままがいいです~」

「でもリワンちゃん、この人は危険なのよ!」

「俺の何が危険なんだよ?」

「こいつは人の胸ばっか見てくるスケベ男なんだから!」

「—————クッ!」


女性は男の目線に気付いていると聞いた事があるが、それは本当だったのか、、、


「ご主人様になら見られても平気です~」

「リワンちゃんは可愛いからそのうち襲われちゃうわよ!」

「ご主人様になら襲われてもいいです~」

「ダメよ!もし変な事されそうになったら、すぐに教えなさい!私がこいつをお仕置きしてあげるから!」

「ご主人様~、このお姉ちゃん怖いです~」

「—————ぐはっ!」


リアンに怖いと言われて落ち込んだヒトミが俺を(にら)みながら聞いてきた。


「これからリワンちゃんをどうするつもりなの?」

「特にどうもしないよ、ヒトミがいいならリワンも一緒にここで生活する」

「こんな可愛い娘なら大歓迎よ!」

「ありがとうございます~」

「また近いうちに旅行に行くつもりだけど、一緒に行きたいって言うからその時は連れて行く」

「楽しみです~」

「リワンちゃん、外は魔物がいっぱいいるから旅は危ないのよ」

「ご主人様が守ってくれるから安全です~」

「一番危険なのはそのご主人様なのよ!」

「・・・・・」




2人は一緒に風呂に入るようだ。もちろん俺は入らせてもらえない。

2人が風呂に入ってる間に体を拭く。

最初はヒトミを怖がっていたリワンも、今では仲良く笑いながら話をしている。


「そろそろ寝るかな」


俺は立ち上がって家の外に出ようとドアを開ける。


「ご主人様~、どこに行くんですか~?」

「そろそろ眠くなってきたからもう寝るよ」

「はい~、()()()一緒に寝ましょ~」


そう言って俺と一緒に外に出ようとしている。


「・・・今日も?———あんたまさか!?」

()()何もしてねぇよ」

「・・・まだ?———ダメよ!リワンちゃんは向こうで私と一緒に寝ましょう」

「ご主人様と一緒がいいです~」

「ダメ!リワンちゃんはこっちで寝なさい!」

「嫌です~」

「ぐぬぬぬ!・・・・・こんなケダモノと一緒にリワンちゃんを外で寝させられないわ。仕方ないからあんたも今日から家の中で寝ていいわよ。でも変な事してたらすぐ叩き出すからね!」

「—————やった!これでテント暮らしとさよならできる!」


アイテムボックスから布団を取り出し、ニコニコしながら飛び込んだ。


「私も寝ます~」


リワンも布団に飛び込み、俺の腕に抱き付いてきた。


「・・・・・はぁ~」


ため息をつきながら部屋の明かりを消して、ヒトミは自分の部屋に入って行った。


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