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異世界ナラティブ  作者: SW
第二章
16/105

【05】—————ムニュ


—————ムニュ


暖かく、それでいて柔らかい感触に起こされて目を開ける。

何だか少し息苦しい、、、


「・・・・・くぅ~」


リワンだ

俺の顔を胸に当てて、抱き付くように眠っている。


それにしてもリワンはなかなか良い物を持っているではないか!

しばらくその感触を楽しんだ後、リワンの体を揺すって起こす。


「リワン、起きろ」

「・・・・・おはようございます~」

「ああ、おはよう」

「もう朝ですか~?」

「夕方だ」

「もう少し寝ます~」

「あれだけ寝ておいてよく寝れるな、もうすぐ夕飯だから早く起きなさい」

「—————はい~!」


元気よく返事をした後、ベッドから飛び起きた。

夕飯に反応したんだろう、、、


「リワンは何で俺のベッドで寝てたんだ、そっちにもベッドがあるだろ?」

「くっついて寝ると暖かくて気持ちいいんです~」

「そうなのか?」

「はい~、これからもご主人様と一緒に寝ます~」

「ご、ご主人様!?」

「どうかしましたか~?」

「今、ご主人様って言わなかったか?」

「言いました~」

「・・・俺の事は名前で呼んでくれないか?」

「ご主人様はご主人様なんです~」

「ご主人様って呼ばれるのは恥ずかしいんだが、、、」

「ダメです~」


・・・・・はぁ

こいつは頑固だからこれ以上言っても無駄だな。


「じゃあ、あまり人前でご主人様って言わないようにしてくれよ」

「はい~」

「夕飯の前にリワンの服を買いに行くぞ」

「わぁ~、ありがとうございます~。嬉しいです~」




宿の人に服屋の場所を聞いた後、そこで普段着などを5着と靴を2足買い、着替えてから夕食を食べに行く。

ヒラヒラした可愛い感じの服が好きらしい、自分の服を見ながら嬉しそうに歩いている。


「リワンは何が食べたい?」

「お肉がいいです~」

「ここは魚が美味しい町だぞ」

「お魚よりもお肉がいいです~」

「じゃあ、肉にするか」

「はい~」


魚はこの前食べたし今日は肉をガッツリ食おう。

でかい牛のステーキを注文する。

ステーキが運ばれてくると、リワンの目がギラギラ輝きだす。


「すごいです~、すごく美味しいです~」


涙を流しながら一心不乱にステーキをむさぼっている。

でかいステーキ2枚をペロリと平らげ、幸せそうな顔で水を飲んでいる。


「腹は一杯になったか?」

「はい~、すごく美味しかったです~」

「じゃあ、そろそろ宿に帰るぞ」


満足したのだろう、ニコニコしながら俺の手を握ってきた。

そのまま手を繋いで宿に戻る。


「明日、家に帰るから今日はゆっくり寝ろよ」

「はい~」

「リワンは今日いっぱい寝てるけど、この後寝れるのか?」

「大丈夫です~、いっぱい食べたからすぐに眠くなります~」

「そうか。じゃあ、おやすみ」

「ご主人様~、おやすみなさい~」


本当はもう少し滞在していろいろ見て周りたかったがリワンも一緒に行動する事になったし、一旦ヒトミの家に帰って相談しよう。旅行はいつでもできる。


俺がベッドに入るとリワンも一緒に入ってくる。

俺の腕に抱き付いてニコニコしている。

う、腕に柔らかな感触が、、、


—————煩悩退散、煩悩退散、煩悩退散!!!


眠れないのは俺の方だった。





朝日が窓の隙間から差し込んでいる。モヤモヤしてあまり眠れなかった気がする。

俺の隣で静かに寝息を立てている寝不足の原因であるリワンの柔らかい頬をつまんで起こす。


「リワン、朝だぞ」

「・・・・・はい~」

「起きなかったら置いてくからな」

「起きました~!」


パッチリ目を開け、俺を見てにっこり笑う。


「ご主人様~、おはようございます~」

「おはよう、準備が終わったら朝飯を食って帰るぞ」


宿で朝食を食べて、食料と寝袋を買い足して町を出る。

2人も馬に乗っているから来た時よりも時間がかかるかもしれない。馬にもしかっり休憩させながらヴァルアに向かう。

帰り道でも奴隷を解放しようと頑張って説得したが聞き入れられなかった。しかも私も冒険者になるとか言い出した。危ないからと言って止めたが無駄だった。本当に頑固な娘だ。

1人旅もいいが、話し相手がいる旅もなかなかいいものだ。


帰りも夜は商隊の近くで野営する。

一緒の寝袋で寝たいと駄々をこねていたが狭くて入らないと言って諦めさせた。

その為に新しい寝袋を買ったのだが少し寂しかった。

主に俺の腕が、、、





ルザーラを出て3日目の昼頃にヴァルアに着いた。

帰りは半日くらい多く時間がかかってしまった。


馬を預けてヒトミの家に向かって歩いて行く。

リワンは手を繋いだまま物珍しそうにキョロキョロ町を見ている。

初めてこの町に来た時の俺と同じだ。


しばらく歩くとヒトミの家が見えてきた。


—————さて、どうやって説明しようかな?


そんな事を考えながら玄関のドアを開けた———


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