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異世界ナラティブ  作者: SW
第五章
101/105

【15】これは想定外だ—————


「レイア、どこか泊まる所は無いのか?」

「ここで生活してもらって構いませんよ」

「ずっとって訳にはいかないからなぁ」

「そうですか、、、わかりました、後で聞いてみます」

「頼むな」




出掛けるのは明日以降にして、午後からは1人でフラフラ町を見て回った。

のどかで静かな所と言うのが第一印象だ。

時間の流れがゆったりしている。


町外れの川辺で食べきれなかった朝食をつまんだり、もう一度田んぼに行って稲の様子を眺めたり、町中を歩いて店に入ったり。

最初は少し驚いた風に見られるが、その後は普通に対応してくれる。

他種族だからと言って、特別視されるような事は無い。

それだけでもありがたい事だ。


切り株の中にあるからなのか、暗くなるのが少し早い気がする。

高い山に囲まれているようなもんだから、こんな感じなのかな?

日照時間が他よりも少し短いんだろう。

畑で作っている物に影響は無いのだろうか?




夕食もまたレイアの家でご馳走になった。

今日もレイアのお酌付きの、豪華な夕食だった。


「泊まる所をお探しと、レイアから聞きました」

「あ、はい」

「でもここには宿のような物が無いんです。ジェロイならあるんですけどね」

「そうですか、、、」

「ここに泊まってくれて構わないのよ。何ならず~っとね」

「そ、そう言う訳には、、、」

「なら隣のお家でどうですか?」

「家ですか?」

「ええ、今は誰も住んでないの」


お言葉に甘えて、隣の家を借りる事になった。

少し掃除をした方がいいと言うので、今日はここに泊めてもらって、明日みんなで掃除する事にした。





今日は朝から大掃除。

隣と言ってもレイアの家から少し離れた所に建っていた。

借りたその家は元の世界で言うと2LDKの間取りだったので、一番大きな部屋を寝室に、もう1つの部屋をリビングにする事になった。

寝室には馬車で使っていた大きなマットを敷き、リビングには買ってきた木の椅子とテーブルを並べた。

薪はまだ充分あるし、風呂は外にテントを出してその中で入ればいいから、取り敢えずはこれでいいだろう。


「レイア、昼から長老様に挨拶に行くから付き合ってくれないか?」

「私も行く!」

「はい、わかりました」

「あたしは遊びに行って来るね」

「私も遊びに行きたいです~」

「じゃあ、アルギュロスも一緒に連れて行ってくれ」

「わかりました~」




昼食後、遊びに行く2人と1匹を見送ってから、長老様の所に案内してもらった。

学校とは反対側の少し高台になっている場所に長老様の住む屋敷があった。

レイアに要件を話してもらい、その場で少し待った後、使用人のお姉さんエルフが案内してくれた奥の部屋に入った。


その部屋には椅子に腰かけているエルフの老人が2人。

レイアが長老様はお爺ちゃんだと言っていたから、お爺ちゃんエルフが長老様だろう。

もう1人はたぶん奥さんかな?

90歳のレイアが俺達くらいの見た目なら、この2人は何歳なんだろうと気になったので、《看破スキル》を使ってみた。


—————マジか!?

驚いた事に2人は3000歳を越えていた。

予想よりも桁が1つ多い。

エルフってこんな長寿なのか?


「この方達はレイアのお客さんとな?」

「はい、旅先で知り合ったお友達です」

「そうかそうか。とにかくお座り下され」


使用人の人にお土産を渡し、席に着いて話を聞いた。


「わしはこの森の長老をしておる。こっちはわしの妻じゃ」

「初めまして」

「こんな遠い所までよくおいで下さった。この町はどうですかな?」

「緑が多くて幻想的で、凄くいい所です」

「気に入って貰えたようで何よりじゃ。何にも無い所じゃが、ゆっくりして行って下され」

「はい、ありがとうございます」


長老様は真っ白な髭を撫でながら満足そうに微笑んでいる。

レイアの言う通り普通のお爺ちゃんだ。


「長老様、今日はお願いがあって来ました」

「お願いとな?」

「はい、ライスを保管している建物に入りたいのです」

「・・・・・ほう?ライスとな?」

「はい。お2人がライスを見てみたいと」

「・・・・・ふむ」


米に似た食べ物はライスって言うんだな。

これなら期待できそうだ!


長老様は俺達の顔を見ながら何か考えている。

よそ者にホイホイと見せられる物では無いのかもしれない、、、

長老様はしばらく考え込んだ後で、大きく頷いた。


「ふむ、良かろう」

「あ、ありがとうございます!」

「シンティアよ、レイアと一緒に行って蔵の鍵を借りて来てくれんか?」

「はい、畏まりました」


シンティアと呼ばれたさっきのお姉さんエルフが、レイアを連れて部屋を出て行った。

残された俺達はその後も長老様達と話を続けた。

何処に住んでいて、何をしているのか?

一緒に旅をしていた時のレイアの様子はどうだったか?

聞かれた事に当たり障りなく答えていった。

長老様は良くしゃべる元気なお爺ちゃん、隣に座っている奥さんは穏やかなお婆ちゃんと言った印象だ。




「おお、そうじゃった。もう1つ聞きたい事があったわい」

「何でしょうか?」


長老様は俺達を見てニコッと笑いこう告げた。


()()()()()から来ていろいろ大変じゃろうが、()()()()()()での生活は楽しいですかのぉ?」

「—————!?」


これは想定外だ—————


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