【14】—————許せん!
次の日の朝食もとんでもなく豪華だった。
量も質も朝食とは思えない、、、
「すみません。私達は出掛けますが、ゆっくりして行ってください」
「はい、ありがとうございます」
「レイア、ちゃんと案内するのよ!」
「わかっています」
出掛ける2人を見送って、朝食に取り掛かるが、とても食いきれる量じゃない。
今日はいろいろ見て回るから、昨日の夜みたいに動けなくなるのは困る。
残った食事をアイテムボックスに入れ、俺達も出掛ける事にした。
「レイア」
「はい?」
「ご両親は俺とお前の関係をどう思ってるんだ?」
「そ、それは、、、」
「もし誤解してるようだったら、ちゃんと話した方がいいかもしれないぞ」
「・・・・・そうですね、、、」
家を出て、村の外れを歩いて行くと、途中で大きな畑が広がっていた。
もう収穫は終わったみたいで、畑には何も作物が無かった。
「ここは小麦畑です」
「—————広いな」
「パンとかお菓子に使うので、たくさん作られています」
「これ全部を村で使うのか?」
「どうなんでしょう?私の家のパンは全てここの小麦で作っていたはずですが、、、」
これなら米も期待できるのでは!
あまり好まれていないみたいだから、かなり余っていそうな気がする。
小麦畑に沿って進んで行くと、大きな建物が見えてきた。
木造の2階建て。
建物の中で人が動いているのが見える。
「あれは学校です」
「学校があるのか、、、」
「はい。1階で文字の読み書きや計算などを教えています。2階では魔法や解体などが学べます」
「レイアも行ってたの?」
「ええ、小さい時に」
俺達みたいな外から来た部外者にも教えてくれるんだろうか?
必要ならリワンとラーニャに教えてもらいたい。
「俺達みたいな部外者も教えてもらえるのか?」
「ちょっとわかりません。後で聞いてみましょうか?」
「頼む。リワンとラーニャに教えてもらいたいんだ」
「私達ですか~?」
「そうだ」
「・・・・・あたしは大丈夫だから」
「・・・・・私も大丈夫です~」
「本当か?」
「た、たぶん、、、」
—————怪しい、、、
リワンは文字は書けるかどうか知らないが読む事は出来たず、ラーニャはどこまで出来るんだろうか?
計算は、、、2人共かなり怪しい。
「リワン、問題だ」
「はい~」
「俺達5人、1人が8本の肉串を持っていたら全部で何本だ?」
「え~と、、、」
「ラーニャは?」
「う~ん、、、」
「・・・・・もし行けるんだったら、2人で学校に行くんだ」
「えー、遊びたいよー」
「私も遊びたいです~」
「そうは言っても、これくらいは出来ないとダメね」
「む~」
「ヒトミ姉様は分かるの?」
「うん、40本よ」
「ヒトミお姉ちゃん、凄いです~」
「これでわかっただろ?学校に行けなかったら家で勉強だからな」
「嫌だよー!」
「大丈夫ですよ、そんなに難しくありませんから」
「そうよ、私とレイアがちゃんと教えてあげるから」
学校の裏の方から林に入り、獣道を進んで行くと、大きな湖が見えてきた。
昨日言っていた湖だ。
その近くに、すでに田植えの終わった水田が広がっていた。
—————しかしこれは、、、
「ねぇ、何か小さくない?」
「ああ、さっき見た小麦畑よりも遥かに小さい、、、」
「え、えっと、、、」
「「レイア!」」
「は、はい!」
「これはどういう事だ!」
「こ、ここではパンの方が好まれていまして、、、」
「そうだとしても、これはあんまりじゃない!?」
いくら不人気とはいえ、これは狭すぎる。
—————許せん!
米を軽く見る輩は許してはおけん!
本気になった米の恐ろしさを見せてやろう!
「米を分けてもらう事って出来ないか?」
「ちょっとだけでもいいから」
「き、聞いてみます」
ブツブツ文句を言っているヒトミと、それに怯えるレイアを見ながら、学校まで戻って来た。
レイアはさっき話した事を聞きに、どこかへ行ってしまった。
逃げて行くように見えたのは気のせいだろうか、、、
帰りはさっきと違って村の中を歩いて行った。
当たり前の事だが、エルフしかいない。
小さい子供も、みんな背格好がよく似ている。
美少年と美少女だ。
少し物珍しそうに見られるが、別に不快な感じはしない。
それにしても本当に緑が多い。
家の周りにもたくさんの木が生えていて、緑と綺麗に調和している。
やっぱりエルフの森はこうでないとな!
「おかえりなさい」
「あれ?レイア、もう帰ってたのか?」
「はい、ほんの少し前に」
椅子に座って、お茶を飲みながらレイアから話を聞いた。
「学校は大丈夫でした。でもここのエルフの子供達も一緒になります」
「2人はいいよな?」
「はい~」
「米の方は長老様に確認するように言われました」
「長老様?」
「そうです。この森の長になります」
「長老様って怖いのか?」
「いいえ、全然怖くありません。ただのお爺ちゃんです」
「なら近いうちに挨拶に行こう」
米の方は長老様次第か、、、
後は宿を探さないとな。
人物紹介等も含まれますが、何とか100話になりました。
この先も物語と同じ様にのんびり進めていければと思っています。
これからもよろしくお願いします。