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異世界ナラティブ  作者: SW
第一章
10/105

【09】今日から冒険者


今日の夕食は焼き魚に野菜のスープ、それにパン。どれもシンプルな味付けだ。

塩以外の調味料は無いのかと言いたいが、タダ飯な上に装備も買ってもらってるんだから文句など言う訳にはいかない。もし文句を言ったら飯抜きになるだろう。


「この肉は今日狩ったウサギの肉なのか?」

「違うわよ、豚のお肉」

「豚の魔物もいるのか?」

「魔物じゃなくて動物の豚よ」

「魔物と動物、両方の肉があるのか?」

「そうよ、魔物は倒した時に消えちゃうでしょ?」

「ああ、消えてたな」

「お肉はアイテムになったでしょ?それが魔物のお肉」

「魔物の肉はドロップアイテムって事か、、、」

「でも動物は消えずにそのまま残るからそれを解体してお肉にするのよ。元の世界と一緒ね」

「で、どっちの肉が美味いんだ?」

「魔物のお肉の方が高いから魔物のお肉じゃない?私はよくわかんないけどね」

「魔物と動物はどうやって見分けるんだ?」

「ん?何となくよ」

「適当に言ってるだろ?」

「本当だもん。大きくて怖そうなのが魔物、そうじゃないのが動物」

「・・・・・・・」


見分け方は自分で見つけよう、ヒトミが適当な奴だって事を忘れてた。

魔物の肉も食ってみたいな、アイテムになった肉を見る限り普通の肉だったし。




夕食後、向かい合わせでテーブルに座り、魔法を教えてもらう。


「魔法で大事なのはイメージよ」

「ふむふむ」

「見ててこんな感じで—————」


(てのひら)に炎が浮かんでいる。


「魔力を集めてそれをイメージした物に変化させるの」

「魔力って何だよ?」

「そうね———あっ、ほらあんな感じよ。少年漫画であったでしょ、手を広げて手首同士をくっつけてそこからバーーーンって出すやつ!」

「ああ、あれね。いい例えだな」

「でしょ!でも最初からあんなの出ないからね、指先にマッチの火を出すくらいから始めないと」

「呪文は唱えなくていいのか?」

「魔力の集中とイメージさえ出来れば必要ないわ。大事なのは早く魔力を集中させて、それをどうするのかしっかりイメージする事。呪文を唱えた方がやり易いって人もいるけど唱えてる呪文はみんなバラバラ、呪文なんて魔力の集中とイメージが固まるまでの時間稼ぎよ」

「なるほどな、とにかくやってみるか」


魔力とイメージか、、、

人差し指を立て、その指先に体の中にある何かを集中させ、そしてそれをマッチの炎みたいに変えるようにイメージしてみる。


うーーーーーーーん、、、、、


——————ポンッ


おおっ、出た!

マッチよりも少し大きな炎が指先に浮かんでいる。


=《炎魔法スキル》を獲得しました=


感動している所に、いつものの声が聞こえてくる。


「へー、結構やるじゃない。こんなに早くできるなんて驚いたわ、後は数をこなして慣れる事ね」

「俺って魔法のセンスがあるみたいだな」

「妄想が得意なだけでしょ?どんな妄想かは知らないけどね」

「—————ッ」

「あ、消えちゃった。どうせいやらしい事を考えたんでしょ?だから消えちゃうのよ」


そう言ってヒトミは立ち上がり、自分の部屋に入って行った。

タオルと着替えを持って出てくる。


「さぁ、お風呂に入ろうっと。————あっ、ゴメンね。お風呂に入るなんて言っちゃったら、魔法に集中出来なくなっちゃうね」


ニヤニヤ笑いながら風呂場の方に歩いて行く。


くそっ!ああやって言われると必要以上に気になって全然集中できない。

今日はもうダメだ—————


体を拭いて寝る準備をして、家を出る。裏小屋に入り、地面に布を敷いてその上に座る。

屋根からこぼれてくる月明かりを見上げながら今日一日を振り返る。




今日の事は忘れない

小さい頃に憧れた、ゲームの様な世界

その登場人物の1人になった

今日から冒険者

俺は俺の冒険をしよう


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