表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ナラティブ  作者: SW
第一章
1/105

【01】これは夢か?


——キーンッ!


「・・・・・んんっ」


———キーーンッ!!


「・・・・・何の音だ?」


どこからか金属を叩いた様な音が聞こえる。

気持ちよく仮眠しているところに聞こえてきた耳障りな音にイラッっとしながら目を開ける。

枝?葉っぱ?

樹を見上げた様な景色が見える。

薄暗い中で両手を地面についてゆっくり体を起こしてみると周りにたくさんの樹があった。


「ん?・・・林?いや、森か?」


林と森の違いは知らないが、とにかくここは外のようだ。

しかも背中が痛い。土の上に寝ていたみたいだから多少痛いのは当然か、、、

———いや、そんな事よりも


「ここはどこだ?っていうよりも何でこんな所に?」


今日の朝、目覚めてからの行動を思い出してみる。

6時起床、車で出勤、8時から始業、んで昼飯食って、、、

食後はいつもの様に車のシートで仮眠していたはずだ

これは夢か?


取り合えずほっぺをつねってみる。漫画とかでよくやるやつだ。

ちょっと強くやりすぎたみたいで思ってたよりも痛い、、、


やっぱり夢じゃないよなぁ

(てのひら)に感じる土の感触、髪を揺らす風、すぐ横にある樹の(みき)

こんなにリアリティーのある夢はないだろう。

訳もわからず、キョロキョロと辺りを見渡していると、背後から声をかけられた。


「あなた誰?こんな所で何をしてるの!」


ビクッとして振り向くと綺麗な女性が立っていた。黒髪のポニーテールだ。

俺に剣を向け、まるで不審者を見るような鋭い眼をしている。

彼女からすれば俺は不審者以外の何者でもないのだから、あんな眼で見られても仕方ないのかもしれない。


「あっ、あやしい者じゃありゅましぇん!」


噛んだ———

状況が分からず混乱している時に、剣を向けられて(にら)まれたんだから仕方ない。


「みんな最初はそう言うのよ!『私はあやしい者です』って言う訳ないじゃない!」

「ほっ、本当にあやしい者じゃないんですって!」


お約束のやり取りをしながら、両手を上げて敵意と武器が無い事を必死にアピールする。

刑事ドラマでよくある銃を向けられた時のポーズだ。

しかし彼女はまだ疑いの眼で油断なくこちらを見ている。

胸の鼓動がすごい事になってきた。体も少し汗ばんでいる。

緊張しているからか剣を向けられているからなのかわからないが多分両方だと思う。

決して綺麗な女性に(にら)まれているからではない!

俺は(にら)まれるよりも(にら)む方が好きだ!


そんなしょうもない事を考えている間にどのくらいの時間が過ぎたのだろうか?

無言のまま注意深く俺を観察していた彼女の目が少し(やわ)らいだ気がした。


「・・・・・その服。あなた()この世界の人間じゃないわね」

「服?」

「ええ、スーツなんてこの世界には無いから」


そう言われて自分の姿を見てみるといつも仕事で着ている紺色のスーツ姿だ。

黒の靴に白いシャツ、今日着ていた服だ。

しかし財布、携帯、タバコは無いみたいだ。もちろん車も無い。

自分の体をペタペタ触って確かめてみる。


「はぁ~、何となくわかったわ。たぶん()()()()ね」


腰の鞘に剣を収めながらため息交じりに彼女はそう(つぶや)いた—————


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ