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どちらかと言うと悪い魔法使いです  作者: 花音小坂
第1章 アシュ=ダール編
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 アリスト教大司教。信者数が100万人いると言われるアリスト教の頂点。果して、その千差万別の人格のみで選ばれるのか? ひたすら高潔でいれば選ばれるのか? 否。現に大司教であるサモンは、アリスト教徒最強の魔法使いである。


<<光陣よ あらゆる邪気から 清浄なる者を守れ>>ーー聖陣の護り(セント・タリスマン)


 サモンは、地面に手をかざしアリスト教徒たち、ロイドの前に最高峰の聖魔法壁を張る。彼らは一進一退の攻防をミラとリリーに繰り広げていたが防御の必要がなくなり形勢が明らかに傾く。


「わ、わわわ。ちょっと! あんたも加勢しなさいよ」


 アリスト教徒たちの魔法を必死に相殺しながら、リリーが唸る。


「……断る。教師に対する口のきき方がなっていない。いや、人に対するそれが口のきき方かね? まったく、人に助力を請う立場とは思えない浅ましさだ」


「ぐぎぎぎぎ……今はそんな場合じゃないでしょうが!」


「どんな時でも礼節は忘れないものだよ、リリー君」


 憎たらしく笑うアシュに「うわあああああ!」と絶叫するリリー。


「リリー様、アシュ様は加勢しないわけではないんです。加勢できないんです。先ほどの戦いでほとんど魔力を消費してしまったのでしょう。肝心な所で役立たず、それがアシュ=ダールというお方なのです」


 ミラがロイドの魔法を防ぎながら答える。


「えっ……マジで? さっきアレだけ格好つけておいて? 『僕は神すら云々』とかって……」


「単に格好つけるのが大好きなのです。いえ、何もできない時ほど格好をつける。何かできる時はもっと格好つける。とにかく、どんな状態でも格好つけるのがアシュ様というお人柄なのです」


「か……格好悪っ……」


 そんな罵倒を浴び、心中穏やかではなかったアシュだが。実際にはその通りだった。悪魔召喚は尋常じゃないほどの魔力を消費する。ディアブロを召喚しただけでなく、天使リプラリュランを堕落させ、操った彼にもう魔力は残っていなかった。


「ククク……何を馬鹿なことを。君たちの実力なら、僕なしでも十分にやれると判断したまでだよ。その信頼に応えてみせたまえ」


「「……」」


 無視。もはや、ガン無視のミラとリリーである。


 一方、サモン側。アリスト教徒の1人が片膝をついた。


「……すいません大司教。もう……俺の魔法力は。お役に立つことはもはやできません。かくなる上は特攻して……」


「シラス、何を言っている!? お前の分など、僕がカバーして見せる。あんな闇の魔法使いなど、僕たちの絆の力が負けるわけないじゃないか」


「そうだ! みんな、ここが踏ん張りどころだ。私たちには神がついている。御心の加護の元、我らが負ける道理はない」


「「「「オーー」」」」」


 再び戻ってアシュ側。


「ミラさん! どうします? このままじゃジリ貧ですよ」


 リリーが魔法に耐えながら、喚く。


「……そうですね。とりあえず、誰か使えない戦力を囮にしてその隙を狙うのはどうでしょう?」


                  ・・・


「……なんで君たちは僕を見るんだね?」


 性悪魔法使いは一歩後ずさる。


「アシュ様、お役に立たないのであれば、囮の1つでもなって戦線に協力してみてはいかがでしょうか?」


 ミラは至極丁寧に毒吐き、提案する。


「アシュ先生……私、格好いいところみたいなー」


 リリーも、ぶりっ子のような言い方で可愛い子ぶる。


「ふっ……君たちは自分たちの実力のなさをーーぐわあああああああっ」


 ミラが壮絶な回し蹴りで、アシュを5メートルほど吹っ飛ばす。


「さすがはミラさん! よしっ、これで少しは奴らの攻撃もーーってちょっとーーー!」


 ダッシュ。普段見せないで猛ダッシュで戻ってくるアシュ。で、がっちりとシスに抱きつく。


「あ、あ、あのアシュ先生」


 顔を真っ赤にして慌てるシス。怒るマークが3個つくリリー。


「何をやってんのよあんたはーーーーーーーー!!!」


「それはこっちのセリフだよ。フハハハハ、こうすれば先ほどのような愚行はできまい。そして、生徒と教師の語らいを楽しむことができて一石二鳥。さあ、しもべどもよ。我が手足となって戦うがよい」


「こんの……変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカーーー!」


 リリーが全力で叫んだ。


 そのチームワークにおいて、徐々にアシュ側が押され始める。




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