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どちらかと言うと悪い魔法使いです  作者: 花音小坂
第4章 リアナ=ハイム編
427/452

再開


 魅悪魔オエイレット。その漆黒の肌と髪が紅の瞳を一層際立たせ、綺麗すぎる輪郭とシルエットは、傾国の美女のような禍々しさを連想させる。階級としては中位の悪魔である。それにも関わらず、華奢で弱々しそうにも見えるその姿が、人間にとめどない悪寒を抱かせる。


「ほぅ……ここは、また絶景じゃな」


 頭を抱えながらうずくまるセナの背中の上に乗りながら、オイリエットは周囲を見渡す。周囲が唖然とする中、闇魔法使いは興味深げに魅悪魔を眺める。


「あの悪魔は絶望を餌にする。セナ君のそれは、詠唱を媒介しなくとも、発現しうるほど深いものだった」

「……どうするんですか?」


 有能執事は背後のキチガイ主人に問いかける。お前のせいじゃないか。お前がネチネチネチネチと追い詰めるから、こーなったんじゃねーか。


「慌てても始まらないよ。僕は、すでに中位悪魔2体を携えているからね。しかも、魅悪魔とは違い、戦闘特化型だ。勝てる確率は少なくはない。むしろ、これは使役させるのにちょうどいい」


 不敵にアシュは笑った。腐っても大陸屈指の闇魔法使い。悪魔につけ込まれぬように、弱気な表情は出さない。


「……面白い戯れ言をのたまう輩がいたものじゃな。我を使役すると?」

「ククク……戯れ言? 僕のことを忘れてしまったのかな? かつて、敵として戦い、共に戦い、共に消滅し合った中だというのに」


 闇魔法使いが口にした瞬間、魅悪魔の表情が一瞬にして変わった。そこには明らかな狼狽と動揺が見て取れる。


「お前は……あの時の」

「思い出したかい?」


 魅悪魔は悪寒を覚えざるを得なかった。この地上で、唯一頭を下げた存在。この男の内部なかはあまりにも気持ち悪かった。禍々しかった。

 急いで、オイリエットは周囲を見渡す。彼女が同化する対象を探さなくてはいけない。アリスト教守護騎士、13使徒、ランスロット、テスラ、シス……リリー。


「お前じゃな」

「なっ……」


 魅悪魔は笑い、リリーの元へと突進した。金髪美少女は慌てて対抗する魔法壁を張るが、それは一瞬にして消滅させられた。その肌と肌が触れあう瞬間、オイリエットの姿は一瞬にして消えた。


「これは……これまで以上の……極上()()

 魅悪魔に取り憑かれたリリーは歪んだ笑顔を浮かべる。それは、彼女であって彼女では無かった。中身が異なるだけで、これだけ人は違うのだと思い知らされるほど、彼女の笑顔は禍々しく映った。


「……情けない教え子だな。いとも簡単に身体を明け渡すとは」

「無駄じゃよ。このリリーという娘も抵抗できると思っていたようじゃが、矮小なる人間には、とてもじゃないができぬ芸当じゃ」


 アシュはチッと舌打ちをする。どうやら、完全に乗っ取られているらしい。本来ならば、その実力差でボコボコにして、圧倒的に勝ち誇って、土下座させて、金輪際自分に逆らわぬほどの恐怖を与える予定だったが、さすがに殺そうとは思っていなかった。


 目的は、聖闇魔法に依存しているリリーの調教。そろそろ彼女にはもう一段高みを目指してもらわなければ困る。それには学園で座学だけしていては駄目だ。実学で、命を懸けるほどの死闘を経て、ヘーゼン=ハイムが最強魔法使いとなったように。


 しかし、魅悪魔に取り憑かれたリリーは、どれくらいの強さになるか想像がつかない。さすがに、中位悪魔と中位天使をぶん回ししていた頃のヘーゼン並みと言うことはないが、それでも魔法の素質は彼以上である。そうなれば手加減することなど即消滅の憂き目になる。


「……」


 その時、アシュは自身の行動を振り返った。仮にリリーに負けて消滅させられれば、彼女自身がアシュをなんらかの方法で封じにかかるだろう。それほど魅悪魔にとって、アシュという存在が脅威であると知らしめている。


「これは……絶対に負けられない戦いになったね」

「……アシュ様。私、今日という日ほど『自業自得』と叫びたくなった日はございません」


 ミラは淡々とつぶやいた。





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[一言] インガオホー( ˘ω˘ )
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