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どちらかと言うと悪い魔法使いです  作者: 花音小坂
第4章 リアナ=ハイム編
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小さな教会


 しばらく進むと、小さな教会が見えてきた。ドアが開き出てきたのは高齢の男。グレッグ=ローゼンという名の神父で、白い顎髭が温和な顔立ちを一層ひきたたせている。


「おお、聖女様……これぞ、神のご加護。よく来てくださいました」


「レイア=シュバルツです。あなたに神のご加護が届きますように」


 簡略的に正十字をきって、中へと入る。聖堂内には、多くの人々が祈りに訪れていた。あちこちに毛布が置かれていることから、多くの人がここに寝泊まりしているようである。


「……みんな、今回の件を不審がってここに集まってきております」


「……」


 周りを見渡すと、レイアはひとりの少年に目が止まる。近づくと、その子は頰が赤く染まっており、息を多めに吐いていた。


「あ、あの聖女様……」


 戸惑いの表情を浮かべる少年に、彼女は満面の笑みを浮かべて指先で象徴《シンボル》を描く。


<<悔い改め 邪を祓え 聖を戻したまえ>>ーー天界の癒し(サン・ヒール)


 詠唱《チャント》を掌に柔らかな光が発生し、それは少年の身体を包む。


「これでよし、後は安静にしていればきっと治る」


 少年の頭を優しくなでながら、レイアは正十字をきる。


「は、はい。ありがとうございます」


 礼儀正しくお礼を言って、正十字を切り返す様子を笑顔で眺めながら、クルッと振り返って再び戻る。


「素晴らしい印《シール》でした。私はあのような美しく描いた象徴《シンボル》を見たことはありません」


 神父のグレッグはウットリした様子で褒め称える。


 通常、魔法を外部に放つには詠唱《チャント》と印《シール》、最低限2つの手順が必要である。魔力を体内に構築し、魔法の理を言語化する作業が詠唱《チャント》。象徴《シンボル》を描くことによって、魔法の理を外部に放つ作業が印《シール》である。


 一般的に詠唱《チャント》の自由度が高いとされているのは、自己暗示的な要素が強く、本人のイメージを魔法の理で介在し言語化しているに過ぎないからである。そのため、いくら高位の魔法を詠唱したところで生じる魔力の属性、量が伴わなければ全く意味がない。


 一方、印《シール》の形は定型で決められたものが多く、同じ形になるが、その象徴《シンボル》の描き方によって威力は大きく異なる。より、緻密に、精密に象徴《シンボル》を描くことにより魔法の効果をより相乗して放つことができる。


「私なんかまだまだです。それより、状況を教えてください」


「は、はい。奴がデルサス山に砦を建てたのは、三日月が満月へと変わる間でした」


「……いくらなんでもそんなに早く建てられるはずがないのでは?」


 窓の外から山頂を眺めているレイアはつぶやく。遠目から見てもその砦は、頑強で難攻不落。恐らく、数千人単位の兵で攻めたとしても容易には落とせないだろう。神父の話が本当ならば、建設開始から2週間を経過せずにそれを建てたことになる。


「身の毛のよだつ光景だったと、知らせてくれた女性は言っておりました。多くの人が一心不乱に建設作業に従事してたそうです。会話も、休憩も、食事も、排泄すらもなく、ただ淡々と虚ろな表情で」


「……信じられない」


 過去の報告からも同様のことは報告されているが、実際にそびえ立つ砦を目にしても現実味が湧かない。建築までに2週間。例え、彼らが24時間休みなしで働き続けたとしても人数としては数百……いや、千は超えるほどの人出がいる。それを一度に操るほどの死者使い(ネクロマンサー)など聞いたこともない。


「……神父様、死者の王(ハイ・キング)を実際に見た人はいますか?」


「え、ええ。その女性が、一人指示をしていた男の姿を見たとのことでした」


「その男は……白髪でしたか?」


「いえ。髪は黒かったとのことでしたが」


「そうですか」


 アテが外れてレイアの声色に落胆が漏れる。


「しかし……白髪の男……」


「なにか心当たりがあるんですか!?」


「い、いえ……昨日、ここを訪ねて来た者がたまたま白髪の男だったもので」


「なっ……」


「昨日は夜遅く集会もあったので、一度お引き取りいただいたのですが、また来ると……と噂をすれば」


 神父の指さす窓の方向を見ると、そこにはアシュが立っていた。


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[一言] 運命の再会!ww
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