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どちらかと言うと悪い魔法使いです  作者: 花音小坂
第4章 リアナ=ハイム編
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戦術



 始まりの合図とともに、陣形を組むナルシャ国のメンバーたち。最前列にシスを置き、後方の4人は波状で横に並ぶ。


 一方、ギュスター共和国のメンバーたちは一斉に散らばって円形闘技場の端を陣取る。


「これは……変わった戦術ですな」


 白い髭を伸ばしながら、ライオールがつぶやく。


「魔法壁を張るのではなく的を絞らせないように動く。一般的に騎士が魔法使いと対峙するときに使用する方法です」


 バルガが無愛想に答える。


 元々ギュスター共和国は魔法使いの人的資本に乏しい国だ。その元凶とも言える人物がまさしくライオールで、優秀な魔法使いはこぞって隣国に流入した。


 バルガは起死回生の策として『魔法戦士』の育成に取り掛かった。


 動き続ける敵に、大技は撃てない。手始めにリリー、ダン、ミランダ、ジスパの4人は魔法の矢(マジックエンブレム)を放つ。しかし、やはりそれもことごとく躱される。


 そして、ギュスター共和国のメンバーの3人がシスめがけて襲いかかる。華麗に敵の攻撃を躱し続ける彼女だが、次々と攻撃に加わっていくメンバーが増えていく。リリーたちも援護をしようと魔法の矢(マジックエンブレム)を放とうとするが、残りの2人がそれを防ぐように彼女たちを翻弄する。


「くっ……」


 息を入れることもできない波状攻撃に、苦悶の表情を浮かべるシス。


 バルガはそんな彼女を見ながらため息をつく。


「シス=クローゼ。素晴らしい逸材だ。是非とも我が国に亡命してもらいたいぐらいですよ。彼女が女でなければね」


「女でなければ……とは気になるものいいですな」


 ライオールが琥珀《アンバー》の瞳を向ける。


「純然たる事実ですよ。本当に優秀な戦士として育てるのならば、男だ。それは歴史が証明している」


 男と女では基本的な運動能力の差は歴然。肉体的な優位は間違いなく男性にあるとは、一般的に考えられている事実である。


「ほっほっほっ……」


「なにがおかしいのです?」


「確かに、一般的にはそうなのでしょう。しかし、それは彼女には当てはまらないように思います」


「……なぜですか?」


「彼女が天才だからですよ」


「……おいそれとそんな言葉を使うべきではないと思いますが」


 バルガは本当に天才と認めたのは二人。目の前にいるライオールと闇にとらわれている性悪魔法使い。


「しかし、それ以外では表現できないのです……おっと戦いが動いたようです」


 その指の方向には、崩れ落ちるギュスター連合国の生徒がいた。


 なんの外傷もなく。


 まるで眠りにつくように。


「……バカな」


「剣はどうしても重さがあるため振るうには男性が有利。拳法は力を入れなければ相手を倒せないので男性が有利。しかし、力を入れない方が早い拳撃が打てる」


 そう言いながら好々爺は軽めの拳を空に放つ。


「……」


「アシュ先生が開発した栄光の手《ハンズ・オブ・グローリー》で力を入れなくても相手を倒すことができる。そうとするならば、男女の差よりも才能の差が戦いを圧倒する……というのが私の見解ですが、どう思われますか?」


「……」


 バルガがなんの反論も言えないのは、シスがすでに残りの二人を倒しているからであった。


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[一言] シスしゅごい!!ww
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