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どちらかと言うと悪い魔法使いです  作者: 花音小坂
第3章 デルタ=ラプラス編
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職員室


 翌日、ホグナー魔法学校の職員室は騒然としていた。


「な、なんでライオール理事長が長期休暇なんですか!?」


 エステリーゼが机ドン。


「し、知らないですよー。私に言われても……私はただ伝えてくれと言われただけで」


 メガネ美女に壁ドンで詰め寄られるのは、低身長の女性。セーラス教信者である純白の法衣。少々タレ目がちの可愛らしい印象である。


「なんで! あなた何者! 何者! 何者――――――!?」


 壁ドン。壁ドン。壁ドン。壁ド――――――――――――ン!


「ひぅ! 今日から! 臨時教員に採用された! ナナ=セルガです! ごめんなさ―――――い」


 泣きながら叫ぶタレ目がち教師は、就任1日目にして名門学校に入ったことを後悔。


「……なんで。なんでこのタイミングで……私になにも告げずに」


 エステリーゼのショックは深い。体調不良なんかで伏せっている場合じゃなかった。その間、いったいなにが起きたというのか。


「ひっく……ひっく……あっ、そうでした。ライオール理事長から手紙を渡されてるんでした」


 そう言ってナナは、机にそれを拡げる。


            *


 理事長代行はアシュ=ダール先生を任命する


    ホグナー魔法学校理事長 ライオールより


            * 


「「な、な、なに―――――――――――――!!!」」


 教師全員が一斉に悲鳴を上げた。


 彼らはすぐに理事長の筆跡を確認するが、確実に見慣れた彼のそれである。


「ナナ先生……本当になにも聞いてないんですよね?」


「え、ええ」


「と、とにかく職員会議。職員会議を開きましょう」


 校長であるロラド=ザビーが教員を落ち着かせる。影と頭は薄いが、この校長もまた非凡な教師である。なんとか、みんなをまとめようと会議を提案する。


 そんな中、


「ふっ……諸君。今日も美しい朝だね。小鳥のさえずりに耳を傾ける暇など愚民たる君たちにはないであろうが、たまには大陸の雄大さにワインで酔いしれる。そんなときもあっていいと、僕は思うよ」


 意味不明な妄言を囀りながらキチガイ魔法使い登場。


「アシュ様……それでは、無断欠勤の理由にはならないと私は思います」


 冷静に主人の意図を理解し、指摘する有能執事も登場。


「ああ、エステリーゼ先生、今日も美しいね。セルート先生、本日も一段と可愛らしい。ユレージュ先生、髪型を変えたかな? 素晴らしいよ。クジュ先生、少しおスレンダーになったかな」


 女性教師限定で、挨拶をして回るエロ教師。


「……」


 全員無視。しかし、それもいつものことなので大して気にも止めない。


「ところで、ライオール理事長は?」


「さ、さあ。遅刻ですかね」


 とりあえず事実の隠ぺいを図るエステリーゼ。


「はぁ……嘆かわしいね。理事長たるものが時間も守れぬとは。それとも、持病の心臓発作かな? はっはっはっ」


             ・・・


「アシュ様……不謹慎ですし、ジョークにもなってないです。皆さま、朝から不快な想いをさせてしまい、まことに申し訳ありません」


 ミラが静かに深々とお辞儀をする。


 こんな奴に、理事長させたら、学校が崩壊する、とは全教員の総意であった。


「ん? ところで、そこの可愛らしい女性は?」


 エロ教師は、タレ目美女の近くに寄ってシニカルな微笑みを繰り出す。


「は、初めまして! 私、ナナ=セルガと言います! 今日から臨時職員として精一杯頑張らさせていただきます」


「初めましてアシュ=ダールと言います。美しい女性は、みな歓迎さ」


「よ、よろしくお願いしますアシュ()()()()()


 !?


「「あ――――――――――――っ!」」


 全員がナナを羽交い絞めして口を封じる。


「も、もががっ……」


 穴と言う穴を全て塞がれて、息すらできなくなったタレ目がち美女。ああ、このまま死ぬんだ、神様今参ります、と心に決めた。


 一方。


「……これは一体どういう事かな?」


 アシュが静かに教師全員に問いかけた。




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― 新着の感想 ―
[一言] うわあ……w ホグナー魔法学校の職員じゃなくてよかった……w
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