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どちらかと言うと悪い魔法使いです  作者: 花音小坂
第2章 ミラ=エストハイム編
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悪魔


 召喚魔法。


 天使・悪魔・精霊との間に主従契約を結ぶことによって、異界より召喚する魔法である。


 アシュの隣に並ぶ悪魔べリアスとオリヴィエ。人ほどの大きさを持ち、漆黒の翼を持つ。鋭い瞳は、明確な殺意を持ち、野獣のような牙が獰猛に光る。


 燃やし尽くされ。アシュの皮膚はただれ、頭蓋骨が半ば見えて、無残な状況だったが、みるみるうちに傷が修復されていく。


「ふぅ……相応に死ぬほど痛かったが、甲斐はあったようだね」


「ベガ!」


 サデスが叫ぶと、僧侶武道家は悪魔べリアスに殴りかかる。


 が。


 オリヴィエの牙が、瞬時に右手を喰いちぎった。


「ぐわあああああああああああっ!」


 叫びながら。ベガは、数歩後ろへ飛ぶ。すぐにサデスが駆けよって、治癒魔法をかける。


「ククク……気を付けた方がいい。彼らは気が荒い」


 闇魔法使いは愉快そうに笑いながら、魔法の詠唱を始める。


「バッカスも下がれ!」


「……」


「早く!」


 セデスは半ば強引に下げさせる。


「賢明な判断だ」


 悪魔べリアスは嗅覚が発達している。バッカスの魔法は匂いまでは消さないというのがアシュの分析結果だった。あくまで、存在を知らぬ者に対する刺客という点でバッカスは非常に有能だったが、それも最早意味をなさなくなった。


 やがて、セデスのがベガの腕を再生した。


「ほぉ……組織を再生して、腕を元通りにするとは。先ほどの魔法壁と言い、君は相当優秀な魔法使いだね」


 形勢が逆転したことを確信し、性悪魔法使いが余裕の笑みを浮かべる。


「……一気に片づけるぞ」



<<聖者の加護よ 我が身を包み 神速を纏わん>>ーー神威の衣(エル・ゼール)


 セデスが攻撃補助魔法を唱え魔力を底上げする。


 続いて三人はそれぞれ、魔法の詠唱を始める。


 各々の最強魔法を。


「べリウス、オリヴィエ」


 アシュもまた。二体の悪魔に指示して溜めを作らせる。


 属性は闇。アシュの闇魔法に更に闇の力を乗せて発する魔法。対する、四聖は各々の属性を混ぜ合わせることで相乗した効果を出す多属性魔法。


 どちらの側にも理がある。後は、どちらの威力が大きいか。


<<光威 咎人を 断ずる 一撃を>>ーー天上の聖辣(ザナ・ハロィン)


<<全てを 吹き飛ばす 暴風を>>ーー絶玲の風(デュアル・シノン)


<<雷豪よ 忌まわしき 闇を 晴らせ>>ーー雷帝の裁き(エルレ・ゼファー)


 光・風・雷。四聖の極限に高められた魔法が放たれた。


 その時。


 アシュは、笑った。


「ククク……リザルドがいればね」


 そう言い残し。


<<悪鬼の 悪辣よ 我が闇へ 聖者を 誘わん>>ーー三悪魔の一撃(トライフォース)


 悪魔べリアスとオリヴィエ。闇のエネルギーと共に、アシュは極大魔法を放つ。


 三悪魔の一撃(トライフォース)。アシュは、この極大魔法に名を冠している。それは、幾千……いや、幾万の試行錯誤を繰り返し、闇属性の魔法を極限まで高めたものだった。四聖の不完全なそれとは違う。


 四聖の魔法は一瞬にしてかき消され。


 その威力を見せつけるかのように、魔法壁を突き破り。


 声すらあげさせることなく、三人の存在をかき消した。


「さよなら」


 闇魔法使いは、静かに彼らだった跡に紳士的なお辞儀をする。


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