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俺より強いのをやめてもらおうか!  作者: イノカゲ
第一部『彼は勝者だそうですよ?』
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七章『いざ、外の世界へ』3

 赤峰が叫びながら構えた、その真っ赤な槍を見て、朝読んだギルラミナの資料を思い出す。


「神霊器……」


 そう久我から渡された資料には書いてあった。

『儀式と契約によって、神を宿した武具』らしいのだが。説明だけでは何のことかわからず、どこかのタイミングで一目見ておきたかったので、ありがたい。


「そういえば、武器の資料はそっちに渡ってるんだったな。これが俺の神霊器『那岐那美なぎなみ』だ。かっこいいだろ……っていたたたたた!!!」


 武器の名前を言いながら華麗にポーズを決めた矢先、赤峰がまだ赤い布の付いている方の腕を掴んで叫ぶ。


「悪かった!悪かったよ!おもちゃなんて言って悪かったって!」


 次は何もない斜め後ろを向いて独り言を始める。独り言というか誰かと話しているようだ。


「あとでちゃんと奉納するから!酒?分かった、酒な!とびきりいい酒を奉納してやるよ!」


 その言葉を最後に痛みが治まったらしく、再び槍を持ち直す。はぁはぁと呼吸を乱しているのをみると、どうやらかなり痛かったようだ。


「今のは?」

「この武器に宿ってる神様だ。なかなかくらいの神様でな、この武器を例えとはいえおもちゃ扱いしたことがお気に召さなかったらしい」

「神様ねぇ……それでここの人達が魔法に対して抵抗がないのか」

「確かにそうかもな。けど、俺たちの神霊器はそんな日常的に使えるような便利なもんじゃねぇからよ」

「ほぅ、なら何ができる?」


 暁は武器を構え直して、戦闘再開の意を伝える。槍の直進的な攻撃を考えて、体の前で斜めに、片手なのは変わらずそのままで。


「いくぞ?」

「あぁ、来い」


 ザッという地面を蹴る音が聞こえる。

───その瞬間、赤峰の姿が視界から消えた。


「那岐ノ御突なぎのみつき


 次に聞こえた音は右から。目では間に合わない。風で感知できた赤峰と武器に合わせて、無理やり体と腕で刀を傾ける。


「くっ!」


 なんとか槍の一撃を刀で捉えることが出来たが、無理な体勢だったために踏ん張れず、足が地を滑る。


「まだまだぁ!」


 続けて、目にも留まらぬ連続突きが暁を襲う。1秒に2、3発は繰り出される突きに刀だけで受けきれるわけもなく、スルスルと避けて対応する。


「ちっ……」


 このまま続けても攻めきれないと判断したのか、赤峰は舌打ちをしてから後ろに下がる。暁のいる地面は、攻撃を受けるたびにズレた跡でいっぱいになっていた。

 赤峰の攻撃の速さもそうだが、何よりも一撃が重い。能力を使わずにたまたま刀で槍の一撃に合わせられたとしても、刀を砕かれてそのまま突かれてしまうだろう。


「身体強化ってところか?」

「いや、そんな大それたもんじゃない。俺が受けている恩恵は『加速』だけだ」

「じゃあその筋力は」

「自前だよ。体が弱くて、加速に耐えられるか」


 自身の筋力だけで、人間を地面に少しでも沈められてたまるかと言いたかったが、実際そうだったのだから仕方がない。

 加速する能力を得るのと、加速に耐える体を得るのでは違うのはこちらでも同じことだ。加速魔法を使って拳を振るった結果、肩が脱臼したという話は定番である。


「それはごもっとも」

「神霊器はおそらく威力だけならお前らの魔法と引けを取らないと思うが、使い手に求められる条件があるからな。使い手が見つからない時だってある」


 赤峰は誇らしげに槍をかざす。


「自慢じゃないが、この那岐那美は30年近く使い手がいなかったんだ。他の神霊器は精神的なことや儀式的なことを要求するのがほとんどなのに、こいつは身体的な条件だからなかなか見つからなかったわけよ」

「神様ってやつは、めんどくさいんだな」

「仕方ねぇさ。人間を超えた力ってやつを手に入れるんだ。簡単にクリア出来る試練でどうするよ」


(人間を超えたか……)


 リベルアスでは生まれつき魔法の向き不向きがある。だが、魔法が使えるからといって人間を超えているという判断はされない。ただ使えるか使えないかという能力の差。運動神経があるかないかと同じ程度なのだ。


『なんで君は人間でいたがるんだい?人間でいるうちはその先を見ることできない。人間を捨てて、私のように化け物になればいい。私とその先を目指そうじゃないか!』


 一年前に、言われたある言葉を思い出す。おそらく今まで出会った中で一番強く、そして一番嫌いな女の言葉だ。彼女は神になりたいと言っていた。神を殺し、神の座を奪うと。

 それを見て暁は、何があっても人間であろう。この力に溺れることなく、たとえ外道と呼ばれようと、人間ではあろうと誓った。


「どうした?そんなに顔をしかめて」

「あ……いや、なんでもない。少し嫌な思い出がな」

「そうか。ところで、そろそろ昼時になる。次、攻撃を当てた方が勝ちってのはどうだ?」

「それもそうだな。腹も空いたし、手早く終わらせよう……か!」


 暁が話し終わると同時に、不意をついて容赦のない攻撃を繰り出す。身体強化による素早い間合い詰めとリーチの長さによって刀身は赤峰の位置へと届く。

 だがもちろん、不意打ちとはいえそんな攻撃に当たる赤峰ではない。言葉通り、瞬時に暁の横へ移動した赤峰は、無防備な暁の脇腹めがけて槍を伸ばす。


「だらぁ!」


 対して暁は叫びながら、体を捻りながら全力でそれを弾く。今までの守りとは違う攻撃としての払い。

 加速と相まって弾かれた衝撃が強く、赤峰は体勢を崩した。


「もらった!」


 払いの攻撃から体勢を戻した暁は刀を振り下ろし、確信した勝利に声を上げる。

 だがその時、


「なんだ!?」


 突如、風が死角からの攻撃を探知する。飛んできた何かは速く、攻撃をやめて刀を向かわせるが、腕の動かない位置が的確に狙われていて届かない。

 その何かは体に当たると強風を生み出し、暁を宙に浮かせるとそのまま吹き飛ばした。

 暁の体は横にあった白い何かで出来た壁にぶつかり、穴を開ける。


「ったく、なにもんだ?人の戦いの邪魔をするやつはぁ!」


 瓦礫を無視して、体を起こす。攻撃してきた主を探して目を凝らすと、20mほど先で、緑の髪をした少女が弓を構えているのが見えた。

イザナミ、イザナギって感じで書くと

伊耶那岐、伊耶那美って書くんですね


そんなわけで作戦開始まであと少しのとこでしょうか

始まる前にまた桜とアリスの話を入れるか悩み中ですが、それは後々

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