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俺より強いのをやめてもらおうか!  作者: イノカゲ
第一部『彼は勝者だそうですよ?』
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四章『勝者は抜きになるそうです』1

「ふぁぁぁぁ」


 時刻は12時40分。校門を今通った暁は、すでに一昨日の記録を塗り替えていた。

 あれから家に帰ったのが1時を過ぎていたので仕方ない。夜遅く帰った日は、シャワーを浴びて目覚ましをかけずに寝ると決めているのだ。


「ん?」


 口に手を当てて欠伸をしながら、まだ花の残る桜並木を眺めて歩いていると、噴水のある広場の前に仁王立ちする桜とアリスの姿が見える。


「お出迎えか?」

「そういうことだ」

「まだ学校が始まって4日ですのに、2日もお昼登校とは何事ですの!!」


 アリスは胸を張り、腕を組んで怒る。説教のポーズを取っているつもりなのだろうが、組んだ腕の上に胸が乗っていてなんとも……桜が落ち込んでるからやめてあげてくれ。

 横で同じく腕を組んでいた桜がそれを見て、驚愕と絶望の表情を浮かべている。


「朝に弱いもんでね」


 流石に昨夜のことは話せないので、適当に誤魔化す。かといって言い訳が思いつかず、なんとも微妙なことを言ってしまった。


「お前は私が迎えに行かないと遅刻せずに学校に来れないのか?」

「いやはやお恥ずかしい」


 桜に合わせて言葉を返す。だが、その言葉に驚愕している人が1人いた。


「迎えってなんですの!?聞いてないですわ!」

「昨日、朝早くこいつが俺の家に来たって話だが、聞いてないのか?」

「初耳ですの!昨日2人で登校してきたのはそういうことだったんですのね!」


 アリスが騒ぐせいで他の生徒達の注目の的になってしまっているようで、周りからは「またあの3人か」などと聞こえてくる。


「なんで誘ってくれなかったんですの!」

「ただ遅刻しないようにと迎えに行っただけで、別に何にもしてはいない」

「私も行きたかったですわ。家を燃やしてやりたかったですのに……」

「おいおい、それはやめろよ」


 ガッカリしながらも物騒なことを言うアリスに、暁はツッコミを入れる。燃やされても怪我はしないが、家具と本をもう一度集めるのは面倒臭い。


「はい!はい!いいこと思いつきましたの!」

「なんだ?」

 

 急に勢いよく手を挙げ飛び跳ねるアリスに押されながら桜は尋ねる。眼の前で揺れた胸を見て桜が、今度は不貞腐れた顔をする。

 舌打ちをするな。舌打ちを


「毎日、私と桜で迎えに行くというのはどうですの?」

「俺そんなフラグ建てた覚えないぞ?どこの恋愛ゲームなんだよ」

「調子に乗らないでくださる?あなたを好きになる人なんていなくってよ!」


 冗談のつもりだったのだが、ばっさりと切り捨てられてしまった。結構辛辣な言葉で


「言ってくれるじゃねぇか。じゃあお前は何で来たいんだよ」

「それはもちろん、家で何か公に出来ないような弱みを探すためですの」

「タチが悪ぃな、おい」


 2人でそんな話をしていると、桜は提案を聞いて腕を組んだまま俯いて考える。


(暁について気になることはまだまだたくさんあるし、毎日行けば分かることがあるかもしれないが……殿方の家に毎日通うというのはどうなのか)


 暫し唸りながら悩んだ末に、桜は答えを出した。


「アリス、その話に乗った」

「流石桜!よく分かってますの!」


 2人はパチンッとハイタッチを決める。そんな2人に暁はさっきから気になっていたことを1つ質問する。


「俺に拒否権は?」


 それに対する答えは


「あるとお思いで?」

「あると思ったのか?」


 論外といった風に、綺麗にハモって否定されてしまった。

 毎日来られるのはこっちで、睡眠を邪魔されるのはこちらなのだが、そんなことは彼女達には関係ないらしい。

 どうせ来るなと言っても来るのだろうし、暁にはそれを阻止する手段はないので、来ると分かっていた方がありがたい。


「あ、そういえば」


 桜は何かを思い出したのか、そう唐突に言うとポケットから小型の端末を取り出した。


「暁、これを先生からお前に渡すようにと言われていたんだ」

「これは?」


 暁は受け取って端末を触ってみる。持ちやすいサイズの薄い直方体で、片面が液晶画面なのはわかる。

 突然、液晶画面が光って『認証完了』の文字が浮かび上がり、次に『WELCOME 三神 暁』と表示された。


「連絡用端末の『グレア』だ。 みんなは入学式の後に貰ったのだが、お前は帰ってしまったのでな」

「何に使えるんだ?」

「今言ったように基本は連絡用だ。同じ学年の生徒なら誰でも、他学年なら両者の了承を得たら連絡を取り合う事が出来る」

「ロックの解除はどうすれば?」

「指紋だ。画面に指を付ければ開くぞ」


 言われた通りに液晶画面に親指を押し当てる。すると表示が切り替わり、ホーム画面らしきものになった。


「ん?」


 暁は、ホーム画面の右上にあるベルのマークに2という数字がつくのが見える。


「どうした?」

「なんか通知が来たみたいでな」


 そう言いながらベルのマークをタップする。


〈新着通知〉

・月見 遊奈からトークをリクエストされました

・上井草 飛鳥から12件のメッセージがあります


「怖っ!!」


 下の通知を見て、暁は絶句した。たった今始めたばかりなのに、それを嗅ぎつけてくるとは侮れないやつである。


「それにしても、月見も早かったなぁ」


 通知の文章を押すと『許可しますか』という文章が出てきたので『はい』を選択する。

 少しして新しい通知が来た。もちろん、相手は月見だ。


「どうしたんですの?」

「月見からトークが来たんだよ。あと飛鳥からもな」

「新規登録者が出ても通知は来ないはずなんだが……」


 暁と桜は2人で苦笑する。アリスはキョロキョロと辺りを見回して2人の姿を探す。


「2人とも近くにいるようではありませんの」

「月見は屋上にいるらしい。あれだな」


 右に見える校舎の屋上から手を振る生徒の姿が見える。 顔までは見えないが、このタイミングで手を振ってくるのだから月見で間違いないはずだ。


キーンコーンカーンコーン


 午後の授業の予鈴が鳴り響く。


「もうこんな時間か」

「桜!次は移動教室でしてよ!」

「そういえば!よし、急ぐぞ!」


 アリスと桜は慌てて校舎に向かって走り出す。周りの生徒達もこっちを見ていて時間を忘れていたのか、ドタバタと移動が始まる。


「暁!!お前もだ!」

「あ、やっぱり?」


 のんびりと歩こうとしていた暁に、桜が遠くから叫んで注意する。

 だが、暁は毛頭急ぐ気はなく、授業に遅れて行ったことは言うまでもない。

4章からは暁以外のバトルが主体となる予定です


定期テストのせいで更新が遅れていますが、応援よろしくお願いします

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