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36話 火山①

1か月の時がすぎ準備は終わった。そして


――地鳴りが、開戦の始まりだった。


遠く、地の底から響くような低い振動。

それは一度きりでは終わらず、規則正しく、確実に近づいてくる。


「……来た」


監視水晶に、赤い反応が次々と浮かび上がる。


火山ダンジョン――侵攻開始。


空気が熱を帯び、ダンジョン全体がざわめいた。


「第一波、墓地エリア侵入を確認」


アイリスの声が冷静に響く。


「フレイムゴブリン多数。後方にマグマリザード、さらに奥に大型反応……」


俺は拳を握る。


「想定通りだ。第一防衛線、展開」





――墓地階層。


霧が立ち込める中、赤い光が揺らめいた。


炎を纏ったゴブリンたちが、叫び声を上げながら雪崩れ込んでくる。


「ギィィィッ!!」


その瞬間。


地面が、動いた。


ガシャリ、と土中から白骨の腕が突き出し、ゴブリンの足を掴む。


「グ、グギャッ!?」


次々と地面から這い出るスケルトンたち。


盾を構え、槍を突き出し、静かに進軍する。


火球が飛ぶ。

骨が焼ける。


だが――止まらない。


「アンデッドは止まらない……!」


フレイムゴブリンたちが動揺した瞬間、背後から音もなく影が伸びる。


――ゴースト。


冷気を纏った霊体が、背後から絡みつき、体温と魔力を奪っていく。


「ギ、ギィィ……!」


動きが鈍ったところへ、スケルトンアサシンの刃が突き刺さる。


次々と倒れる火の軍勢。


しかし――


地面が、赤く割れた。


「マグマリザード来るぞ!」


巨体が、炎と共に這い出る。


溶岩の鱗がきらめき、骨の剣を弾く。


だがその瞬間。


「今だ!」


ワイトの詠唱が終わる。


冷気を帯びた呪詛が空気を凍らせ、マグマリザードの動きを鈍らせた。


「グォォ……!」


そこへスケルトンタンクが突進。


重量と数で押し倒す。


火と骨がぶつかり合い、墓地全体が戦場と化す。




「第一防衛線、機能中です」


アイリスの声が、冷静に状況を伝える。


「損耗はありますが、想定内」


だが、その時――


監視水晶が大きく明滅した。


「……来ます」


一段、空気が重くなる。


「巨大反応、侵入開始」


地面が、割れた。


溶岩を纏った巨大な脚が、墓地の端を踏み潰す。


「インフェルノジャイアント……!」


火柱が吹き上がり、墓標が溶ける。


骨が砕け、霊体が焼かれて消える。


「くそ……!」


だが、その歩みは――遅い。


地面が凍り、ぬかるみ、拘束されている。


「効いてる……!」


「ええ。墓地の呪いと冷気が、確実に効いています」


アイリスの声が、わずかに高揚を帯びる。


「ですが……このままでは、持ちません」


巨体が咆哮し、火柱を噴き上げる。


防衛線が、きしみ始めた。


「次の段階へ移行します」


俺は拳を握りしめた。


「廃遺跡へ誘導しろ。

ここは“削る場所”だ」


シャドウウルフが影に溶け、誘導を開始する。


戦場は、次の段階へ――。


そして、戦いは本格化する。


ダンジョン全体が、唸りを上げていた。


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