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34話 戦争準備

ダンジョンの改修は、想像以上に骨が折れた。


まず最初に手を付けたのは――配置そのものの再構築だ。


火山ダンジョンを相手にする以上、最前線に“燃えるもの”を置くのは愚策。

そのため、俺は思い切った決断を下した。


「ジャングル階層を、地下に下げる」


豊かな植生を誇るジャングルは、火に弱い。

だからこそ地下二階へと移動させ、外気と隔離した。


代わりに、地上階――ダンジョンの入口にあたる階層は墓地エリアとする。


侵入者が最初に踏み込む場所だ。



墓地階層には、即戦力を集中配備した。


まずはスケルトンを一気に百体追加召喚。

数で圧をかけ、足止めと消耗を狙う。


さらに――火属性対策としてスライムを五十体召喚。


結果は、予想以上だった。


「……進化、してる?」


フロースが驚いたように声を上げる。


通常のスライムが、環境と死属性の影響を受けて変質していた。


・アンデッドスライム

 物理耐性が高く、斬撃を受けても再生する。


・ポイズンスライム

 触れたものを腐食させ、毒をばら撒く。


どちらも、火属性との相性は決して悪くない。


「……これは、使える」


さらに階層ボスとして、Cランク・ワイトを配置。


知性を持ち、魔法を扱えるアンデッド。

前線を指揮し、状況に応じて魔法支援を行える存在だ。


加えて――


スケルトンアサシン。

スケルトンタンク。

スケルトンファイター。

スケルトンマジシャン。


それぞれが連携し、墓地全体を一つの“殺し場”に変える。



次に、地下1階――廃遺跡エリア。


ここには新たにゴーレムを追加配置。

耐久力重視の壁役だ。


さらに、オークの数も増やした。

単純な戦闘力と集団戦能力は、ここでこそ活きる。


「突破されても、ここで削る」


俺はそう判断した。



そして、ジャングルエリア。


ここは“迎撃”と“撹乱”を兼ねる。


新たにDランクのハーピーを五体召喚。

空を飛び、爪で襲うシンプルな戦闘特化型だ。


「この部隊は、私が統率します」


アイリスは一歩前に出て、静かに胸に手を当てた。


「索敵、迎撃、連携。

いずれも問題ありません。私が責任を持って指揮します」


その声には無駄がなく、迷いもない。

淡々としていながら、確かな自信が滲んでいた。


「……任せた」


俺がそう答えると、彼女は小さく頷いた。


「はい。主の期待に応えます」



加えて、フロースが管理するトレント部隊。

さらに、自然発生したマッシュルームマンたちも戦力として編成した。


毒胞子と再生能力。

地味だが、確実に厄介な存在だ。



最後に――


マリーとシャドウウルフ。


この二人は遊撃隊だ。


敵の主力を削ぎ、混乱させ、撤退経路を断つ。

決定打を与える切り札。


そして、都市部。


ここには――


戦士である結衣。

そして、シスターの彩乃。


戦闘には出ない。

だが、もしもの時の防衛と支援、回復の要だ。


「……よし」


全体を見渡し、深く息を吐く。


「これで、準備は整った」


火山ダンジョンがどれほどの戦力を誇ろうと――

ここは、簡単には落ちない。


むしろ。


「来るなら来い」


静かに、そう呟いた。

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