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永遠 ♾️ バディ無双 〜爆弾娘と不器用勇者の旅〜  作者: アキなつき
第五部 無双のスローライフ〜人助けと共に〜
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第96話 ハートの涙で立ちあがる


暖かな陽の光が指す広場。

そこにはこの世界に無い桜が咲いていた。

別れと出会いの象徴の花。


「本当にお婆様から聞いていた、通り」

「なんて、言ってたんだ?」

涙を拭いて、笑顔を作る。


「ユウトさんは美少年で、エクシーさんは"怖いぐらい"の美女だって……。

"怖いぐらい"って、失礼なのかも、しれないけど……すみません」

エクシーに会釈するリリッシュ。

「そうとしか、表現出来ない」

心の中で、笑う。

魔王の娘だもんな。


緑が動き出すような匂いを運ぶ風が、横を吹き抜けていく。


「ユウトさん、エクシーさんにリリスお婆様から遺言があります」


おれは、顔をあげた。


「うかがいましょう?」


「では……いきますね」




「(日本語で)ありがとう」





心にかみなり。


完璧なイントネーション。


……ありがとう。


ったく。ダメだよ。こんなの練習させちゃ。何やってんだリリス。


なみだ。


エクシーが、おれの肩にそっと手を置いた。


春風、やさしさ。



……なんだよぉ。




「これが、お婆様からの手紙です」



〜ユウトさんへ〜


仲間が死んで苦しんでいるユウトさんへ。

昔、カイラ姉ちゃんから、聞いた言葉を送ります。


「ひとりで立ち上がらないでください。


ちょっと誰かを助けてみませんか?


ひとりだと、立ち上がれないけど、誰かのためなら、きっと、力が出てきます」


貴方達がうらやましい。


私の大好きなファミリー。


あの空間にずーっといれて、そして、何度も素敵な出会いに立ち会えるのだから。


死は別れじゃありません。


永遠の愛をこめて。


心の中にずーっといます。


リリス



顔を上げる。

あの日のリリスのように、リリッシュが笑っている。


右肩に置かれた手。

エクシー。

泣くような顔で微笑んでいた。




暗闇。


左手、リリスを先頭に"みんな"がいた。

右手、エクシー。


両手に掴んで、ゆっくりと立ち上がった。

ったくよぉ……わるぃなぁ。


涙+照れ笑い=立ち上がる。



「さぁ?! 次の無双を始めようか?」


みんなの後を追って、一歩踏み出す。



──── 完────

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