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永遠 ♾️ バディ無双 〜爆弾娘と不器用勇者の旅〜  作者: アキなつき
第五部 無双のスローライフ〜人助けと共に〜
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第90話 次へ


煮え切らない空。曇りに晴れ。

おれは眼下をボーっと眺めていた。


「ここでしたか……?」

エクシーが小さく笑いながら、ゆっくり隣に座る。


思い出す。


ジャガイモを孤児と一緒に掘った事。

あの土の匂い。


未亡人の女性達とブドウの汁で服を染めながらのワイン作り。

その時の笑顔。


エクシーが毛布をかけるように後ろからハグしてきた。

「ユウトさん、知ってますか。カイラ、結婚しますよ?」


「え……誰と?」


「人も増えましたね……」


「おれの知っている人?」

ファミリーの名前、全員は覚えきれていないけど……。


心の穴を埋めるようなエクシー温もり。



「はい……ミノックさん」

ああ……師匠か。

小さく笑う。

「いいかもな……師匠、裏表ないから。

あのカイラも素でいられるのかもな」


風が優しい。


「明るいですよね、ファミリー」

「そうだな……」


リーダーとして、決断する仕事は増えた。

でも、やりがいもあった。


胸の奥が暖かいのは、彼女の毛布のような抱きしめ方だけではなかった。



その日の夜、マルネロ。


腕がしびれている。

裸の胸元で寝息を立てるミラベル。


フー。小さく息を吐く。


眠れない……。

思い出すのは、イーストテリアに旅立つ日のリリスの顔。



"お前も頑張れよ" そう言って、ファミリーを去る日に肩をバンバンと叩いていったダンさん。


遺言も残さずに逝ってしまった、親分マルス。


……このままでいいのか?

焦る心。


リリス、ダンさん、置いていかれたく無い。


そして、いつの間にか親分のように死ぬのか?彼ほどの功績を残せずに?息子のおれが??


胸の奥に刺さって、眠れない。


動く手応え、彼女がゆっくり目を開ける。


「どうしたの……?」


「眠れなくて……」

小さく笑う彼女。

「話してみない?」


静かな寝室に、小さく魔力灯の光が広がる。


「ミラさん……僕、外に出てみたい」

「外って?」

小さく唾を飲む。

「デュランダルトの外に出て、勝負したいんだ」

小さく、笑う彼女。


「それだったんだ……なんか、悩んでるな?って」

ゆっくり愛おしそうにマルネロの胸元に顔を近づける。ミラベル。


「マルネロ、私、今、26だよ」

「……うん」

「あと数年したら、子供もできづらくなる……」

「……わかってる」


「ね、愛おしい人の子供が欲しいのって、本能なのかな?」

ミラベルの手が優しく、マルネロの顔を撫でる。

その顔は優しく、そして柔らかく眉が下がっていた。

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