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第60話 社交界デビュー


のどかな、昼下がりの仮拠点。

扉の外で待つ、おれ、ダン、片足のミノック師匠。


「ユウトさん、今日はお休み?」

ダンのやじる様な言い方。

「そうだよ、エクシーの晴れ着姿見にきたんだよ」


少し眉が動く。


このところ、別行動。おれは石積みで拠点作り。

エクシーはダンと仕事というか、この男はデートだと、思ってる。羨ましくないと言えば、嘘になる。


「……なんで、奥さんとか、カミさんとか言わないかね〜」

小声でダンにダメ出しされている。

「……本当だよ、あんないい女に毎晩、抱かれててよぉ」


いや……ちゃんと、抱かれてなくて、抱いて……顔の位置を見上げる抱き方??

うん??……まぁ、いいか。


少なくとも毎晩じゃないんだよ……カレー曜日ぐらいの頻度だぞ。


中身、中年だけど、こっちとら、新婚だぞぉ。




「どうぞー!!」


その声と共に、ミラベルが、扉を開ける。

リリスの顔も頬が赤くなって嬉しそうだ。


中に入る。


「ふぁー」

もう、身体から力が抜ける。

女性は化ける!

それを見た男性は鼻の下が伸びる。


部屋の空気に、ここは温泉ですか?ってぐらいに見惚れて力が抜ける。


「どうですの?」

ジロジロ見る男性陣に、さすがのエクシーも、頬が赤い。


ふわふわとした、あれ抱きしめられる?……いや、ここは男らしく、抱きしめたいわ。


「ほら、エクシーに聞かれてるよ、ユウトさん」


おれは多分、鼻の穴を膨らましながら、そして、顔を赤くしながら。

「うん……綺麗だよ」

って言うしか出来なかった。


隣を歩きたいやつ。

いいよなぁ……ダン君。

あぁ……イケメンが鼻の穴を膨らましちゃって。


返り血がつく前に、デートできないかな?



ーーそれから2週間後のある夜

師匠には、席を外してもらい、仮拠点でマルスさん、マルネロさんと待っていた。


イーストテリアの香水販売がひと段落する日。


魔力灯の光が揺れる、扉が開いて、待ち人が戻ってきた。


「ただいまですわ」

エクシーの髪が少し乱れている。

「ふぅ〜、ただいま」

ダンも、かなりくたびれている。


「どうでしたか?」

マルネロがたまらず聞く。


「まぁ、少し待って」

ダンが椅子に腰を下ろした。


しょうがないから、お茶を入れてやる。


エクシーがお茶に手をつける。

ダンも口をつけて、一息。


エクシーが立ち上がる。

「では、あまり引っ張っても、あれですので、発表いたしますわ」


期待に胸が高鳴る。

マルスさん、マルネロ、じーっと見ている。

おれ、唾を飲み込む。


「香水15種類、45本で売れた金額……」


エクシーの収納魔法から、ドンっ!!と、金貨が入った袋がテーブルの上に置かれる。


おれは飛び上がって喜ん……。



ドンっ!!


え??


ドン!!


空気が止まる。



ニヤッとダンが笑った。


「総額で2760万エル! 原価なんて微々たるもんさ。利益、ざっと2700万は固い!」


空気が止まり。


「ヨーシ!!」


おれたちは、輪になって飛び上がった。




さてと……。


リハーサルは終わったさ。


うちのカミさんが首を長くして待ってたんだ。


こえーぞー。


震えて覚悟しなよ。


帝国セントラル。


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