第47話 重力魔法とあざとい香水
ドドドと音を立て、滝壺に落ちる水。
滝の上でエクシーに逆お姫様抱っこされ、浮かんでいるおれ。
「なぁ……他に方法はないのか?」
寒さに震え、水着一枚で思わずエクシーにしがみつく。
……いいにおい。温かい……じゃなくて。
「イヤなんですか? 鼻の穴ふくらませて、ぜんぜんイヤそうじゃないですけど?」
ふんわり笑うエクシー。
「ほら、高くて怖いだろ?」
「ふふふ、こっちを見てください」
エクシーに顔をのぞき込まれる。
相変わらず、綺麗だよなぁ……。
パッと、離れるエクシー。
「えっ——」
ヒューッ。
ドボン。
滝壺に落ちる。
いきなりはやめろ!
水を飲みながら、あわてて浮き上がる。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「どうですか? 無重力からの重力の圧、ちゃんと感じ取れました?」
「……いや、いきなり過ぎるだろ!」
「ふふ、ごめんなさい。でも、ユウトさんがダラシない顔してたから……真剣さが足りないかと思いまして」
口角をわずかに上げるエクシー。
「とにかく、早く重力魔法を覚えないとな」
「そうですよ! 真剣にやってくださいね」
……じゃあ、なんで今日はいつもと違う、誘惑系の甘々フレグランスなんだよ?!
そんなあざとい乙女心も……嫌いじゃないけどさ。