第40話 ファミリーのはじまり
――「ふふ、ワシは世界一の商人と呼ばれておる。そのワシが、余生を孤児院とはな……?」
あれ……?
大体の計画は事前に、話しておいたつもりだったけど……ダメだったか?
「面白い!じゃが、ファミリーになるなら、まずは自己紹介が先じゃな!」
「言い出しっぺのワシからな」
マルスさんから自己紹介が始まる。
「商人のマルスじゃ、面倒だから、謙遜は無しじゃ。世界一の商会を一代で立ち上げた」
マルセル商会を知らない人はいない。まぁ、大丈夫だろう。
「ユウトさんからは、ファミリーの金を稼いでくれって頼まれちょる。良い人間を育てるのにも金は必要……」
先に俺から言っておかないとな。
「だから、マルスさんにも儲けてほしい。儲けがないと、続かない」
「ああ、わかっちょる、儲けと善意のバランス。助けと自立のバランスを取るのが、これからのワシのルール……楽しみじゃ」
良かった、伝わっている。
マルスさんが、マルネロさんの肩に手を当てる。
「でな、わしの息子のマルネロ」
「マルネロといいます、よろしくお願いします」
線の細い真面目そうな男が頭を下げた。
「マルネロは“金が嫌い”なんじゃ……」
「親分っ!仕事はちゃんとやっているじゃないか……?」
「ああ、しっちょる」
笑いながら、頷くマルスさん。
「じゃが、コイツはワシをしても商売の天才じゃ」
「えっ!」
マルネロさん、本人が一番びっくりしてる。
「ユウトさん、コイツはワシの秘蔵っ子じゃ、アンタのプランに乗るか、乗らないかは本人に決めさせてやってくれないか?」
「ああ、構わないよ」
元々、マルスさんだけでもおんの字さ。
……さてと、続くのは、デュランダルトのメンバーと、後は軍事力だな。