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永遠 ♾️ バディ無双 〜爆弾娘と不器用勇者の旅〜  作者: アキなつき
第三部 次の無双の前の静けさ
38/96

第37話 最後に登場は伝説の男


小鳥亭にカイラとエクシーとで集まる。


「じゃ、あの後、ダン君はユウくんのところに行ったの?」


カイラのおかげだったのな。

さすが、面接、人事担当。


「ああ、俺に言われた通りだって」

「それだけじゃないでしょ……?」

エクシーに突っ込まれる。


それは言わなくても……。ま、カイラにはいいか。


「俺からも謝った。"君にキレていたのは、何でもできるイケメンへの劣等感です。ごめんなさい"って……」

「あははは……ユウくんも大概だね〜」

「それで計画参加してくれるってさ」

まぁ、結果オーライだよ。


突然、扉が開いて、待ち人がやってきた。


「こんにちは、遅れてしまいましたかな?」

人懐っこい笑顔でやってくる。

「驚いたぁ〜、本当に来るなんて」

事前に聞いてた、カイラも驚いている。


「マルスさん、お久しぶりです」

もう1年以上ぶりか。

「久しぶりです、今日は楽しみです。

あ、息子のマルネロ」

ソロバン教えて以来か?たしか、成人ギリギリの十五くらい?


「そちらのお嬢さんは方は……?

お一方はデュランダルトNo. 1のカイラさんかな……今日は何故ここに?」

「初めまして、ボクのこと知ってるんだ?

面接官?って言うらしいです。人となりを見る役目」

(ユウくん、この人、ボクと同じにおいがするよ)


「初めまして、エクシーといいます。ユウくんの奥さんです」

あれ?結婚してたっけ?まぁ、いいか……。


最後に登場したのは、今回の計画の最重要人物にして、世界最大の商会長。


【マルス・バルラント】

親分、まさにその人だった。



「ユウ坊、生きておったのは知ってたが、水くさいぞ」

自己紹介が終わり、親分平常運転。

「そうですよ、ユウトさんを探せって、お母さん達からも詰められてたんですから」

マルネロさんも苦笑する。

相変わらず、奥さん連中仲良いのな。


「ちょっと、ユウくん、マルスさんが来るって聞いてたけど、どういう関係?」

カイラも名前は知ってるのか。


「3年前に、マルスさんの命を救う機会があったんだよ……たまたまな」

「いえいえ、本当に助かった。命の恩人さ。そのお礼の1000万エル、受け取ってくれないんじゃ」


「いやいや、マルスさんに投資したいって、言ったじゃないっすか?」

この人に預けておけば増やしてくれそうだったしな。

「これは挑発か?と思って、3億まで増やしたぞ!」

利率、ぶっ飛びすぎだろ。


「まぁ、マルスさんを助けた後、色々と商売論について飲み明かしててさ、魔王討伐終わったら、商売やろうって」

「そうなんじゃ、それでやっと見つけたんじゃ。片腕になっとったと聞いたで、ダンジョンに潜るだろうとは思ったが……狙いは当たったがの」


「ユウトさん、親分は全部の事業を引継ぎして、会長職を辞めて、こっちにきたんだよ?」

マルネロさんの言葉に責任を感じてしまう。


「いいんじゃ、ユウ坊と話した『弱者の法則」も『パレートの法則』も目から鱗で面白かったしな。

ソロバンも役に立っとる」

前世の受け売りだけどな。


「それで……どんな計画を始めるのですかな?」

伝説の男の目がキラリと光る。



ーー計画の全容を話し終わると


「一つだけ、教えてくれ、ユウ坊、アンタがやりたいのは『慈善事業』か?」

「うーん、ちょっと違うんだよな。必ずしも良いことか、判らんし。自己満足……?」


「ユウ坊、腐っても世界一の商人だ。

それが、あんたの自己満足の為に動くのかい?……帰らしてもらうよ」

背中にブワッと汗をかく。マズい。


「ちょっとだけ、待ってくれないかな?」


カイラの声がさらに空気をひきしめる。


「アンタも商人なら、言葉っていう“外面”に痛い目見たことあるよね。

うちのユウくんの本質、もう見えているんじゃない?

だから……ちょっとだけ言葉に出すのを待って欲しい」


「なぁ、マルスさん、あんたが奥さんをもらうのは、慈善事業じゃないだろう?!」

この人はお金を持ってないシングルマザー、生活に困っているシングルマザーばかり、結婚する。


「ほほぅ……?ワシは全員愛しているからな……」

(この小僧……

ワシは、母親一人に育てられたんだよ。

もしあの時、同情でも助けてくれる人がいたら。そう思って奥さんをもらってる)



多分、マルスさんは奥さんをもらうのに同情がゼロではない……。

嘘でもない。


胃の奥が痛くなる。


ーーあ、わかった。


「マルスさん、わかったよ。

俺がやりたいのは……。

自己満足を偽善で覆った偽善事業がやりたいんだ」


「……なるほど?」


「あんた、もう、飽きてるだろう?普通の商売??」


「……」


「な、金儲けながら、偽善事業だぜ?ワクワクしないか??」


マルスさんの目の奥に、号砲のように魂の火が灯った。



これで……最後のピースが揃った。




さぁ。今度はバディじゃない。


チームだ。


次の無双を始めようぜ!!



────第三部 完────


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