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永遠 ♾️ バディ無双 〜爆弾娘と不器用勇者の旅〜  作者: アキなつき
第三部 次の無双の前の静けさ
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第30話 無双準備への号砲


日が落ちるころ、ジジさんが先に小鳥亭にきていた。

エクシーと一緒に隣に座り、残りのメンバーを待つ。


「どうも……です」

次にダン君が扉を開ける。この前の『鬼の片腕事件』以来、仲良くしてもらっている。


「あれ?どういう集まり?」

ミラベルが来る。メンバーを見た瞬間、機嫌が悪い?


「今日、ここに来てもらったのは、秘密を守ってもらいたいからだ」


ーー

「みんな、俺が元魔王討伐隊のメンバーだと知っている」

「え…………」

驚くダン君。彼だけ知らなかった。

「そう、ダン君だけ知らないと思うが……」


「事実よ、クレジットは嘘つかない」

ミラベルが自信を持って話す。


「じゃ、尚更、なぜ僕に話すんだい?!」


みんなを信じてカミングアウトする


「ああ、俺が魔王討伐した瞬間、殺されかけた。そして、命が尽きる前に助けてくれた人がいる」


「!!!!」

言葉を失う面々。


「だから、俺が生きているとセントラルに知られる事は、まずい」

なんとなく、呼ばれた意味を察してくれたらしい。


「このことを話したのは、ここにいるメンバーしかいない。絶対に誰にも言わないで欲しい」


「言わないよ、ギルド職員の守秘義務に比べたら、小さいし」とミラベル。

「ワシは話さん。一時は命がけのバディだったから」

「ぼくも言わないよ。自分の誇りにかけて」

ダン君は自分の誇り?なんだ?


「貴族の誇りにかけてって言わないんだね」

ミラベルもそこが気になってたらしい。

「そうだな……」


「私ね、貴族って嫌いなんだ……ごめんね、ダン君がどうこうじゃなくて、でも、この時期はね……特に」


「今年って不作で、全然麦が取れないの。

そんな時は、村の子がデュランダルトにたくさん出てきて……たくさん死んでいく……」


「ユウトさん、貴族ってなに?

戦争して、領土を広げること?それで、孤児や奴隷や、未亡人を増やす事が貴族なの?」


ーー何も答えられずにいた。

貴族社会……もちろんどんな社会にも闇がある。


「エクシーのことも、正直、最初は苦手だった」   


そうだったんだ??


「香水つけて、お高く止まっちゃってって思ってた。でもね、この前、聞いたの。

香水とレシピは親友の形見だって」


ーーリオン:魔王のことを親友って言っているのな。


「それでもね、今は好きなの。

誤解しないで欲しいんだけど……。

エクシー、ユウトさんが寝た後、男娼館に通っているんだよ」


俺は一気に血の気が引いていく……。

「ーー男の子とそういう事をしているわけでは……」

エクシーが弁明する。


「知ってるよ、カイラと仲いいから。

性の病気になった男の子を無料で、魔法で治すためにって、彼女から聞いたから」


……魔力供与法の後のエクシーがそんな事していたんなんて。


「ユウトさん、貴族って、何が偉いの……?」


「そりゃ、貴族にも責務があって……」

「それが、食糧が足らなくても助けないこと?

それとも、食い扶持が無くなった子をデュランダルトに送ること?」


社会はいつも理不尽で、でも、そこに手を差し伸べるほど強くはなくて……?


あれ、俺って強くなっているんじゃなかったっけ??



ーーその日の夜。

ダンは夜中に目を覚ました。

隣には裸の女性が二人。


「貴族って……」


俺は……貴族になるためにあらゆる事をした。

われながら、頑張った。器用だったから、そのままいけば、きっと超一流になり、覇権を取っていた。

父親が貴族を剥奪されなければ……。

でも……超一流になって何をしたかったのだろう。


女性を見る……生活には困っていない。楽しくダンジョンに潜って、女の子とお酒飲んで、抱き合って寝る。楽しいさ。そして……この先は……?



ーー次の日

俺はエクシーと一緒にダンジョンで、魔獣を狩っていた。

「ユウトさん、もっと魔力を重ねて?

その10倍ぐらいの魔力を圧縮して」

その言葉をきいて、ファイアーボールをギュウギュウに圧縮して放つ。


メガオーガ級のA級モンスターが瞬殺だった。

「魔力350万超えたもんな……」

「目指せ……1億だもんね」

「なぁ、1億超えて、何と戦うんだ?」


「そうね……もう辞める?」

「まぁ、やる事ないし、続けるけど」


「エクシーはなんで慈善事業やっているんだ?」

「なんとなく、自己満足」

「そっか……」


「ユウトさんも目の前に溺れている人を見たら助けるでしょ?」

「いなかったら……?」

「いないのじゃなくて、見えてないフリをしてたら……」


そっか。

「答えは、出ているんじゃない?」

エクシーの言葉に気づく。


弱かった頃は見えてないフリしてた。だって、見ちゃったら、心が助けたいのに助けられなくて、壊れちゃうから。

強くなったら……そっか、目をそらさなくていいんだ。


「エクシー、ちょっと話があるんだ」

「はいはい……どうされました?」

笑顔。

「おれは、もっと強くなるよな?」

そう、化け物になる。

「はい……」

なんで、ビーチデートの時より嬉しそうなんだ?


「その力を使って……やりたいことがある」

おれは"計画"をエクシーに話す。


……泣きそうな顔で喜んでいるエクシー。


そうだよ、帰る場所があれば、一人で寂しくならなくていいんだ……だから、成功させよう?


な、まずは仲間集めさ。


ジジさん、あの人なら教えられる。

ミラベル、やさしい受付。

ダン君、イケメン元貴族。

そして最後のピースが、あの人、やべ、手紙書かなきゃ。


「あのさ、もう一人、探している人材がいるんだが」

エクシーに聞こうとするが。


「ユウ君、お姉さん……」

涙を流さないようにお姉さんぶる、エクシー。


ダンジョン内に場違いの優しい風が吹く。


「いい人いますよ」

エクシーが、涙を飲み込んだ、いつものお姉さんスマイルを浮かべていた。


さてと、オッサン、頑張るよ。

最後のピースが揃う前に……。


おすすめの人物、その人事担当候補に会うとするか?


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