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永遠 ♾️ バディ無双 〜爆弾娘と不器用勇者の旅〜  作者: アキなつき
第三部 次の無双の前の静けさ
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第24話 遊びの思い出


==ユウトを迎えにいく前のエクシー


エルフの森の中。

月光が葉の合間から静かに差し込み、白銀の揺らぎが地面を照らしている。


エクシーは静かに佇む。

一人のエルフが、深い緑色の小瓶を差し出した。


「あまり、老けないのね?」

エルフに笑いかけるエクシー。


「そっちこそ、相変わらず化け物級の美しさ」

「化け物はひどくない?」

冗談に笑って返す、エクシー。


「だって、私はいま、200歳で、あと50年もすればお迎えがくるのよ…」

「そう……?」

長命種のエルフでも寿命は250〜270歳ぐらいだ。


緑の小瓶をあらためて差し出す。

「毒消し薬。お題はいらないよ」

指先には、微塵の迷いもない。


エクシーはゆっくりと受け取る。

「ありがとう……」


「礼はいらないよ。昔……人間の世界で奴隷にされたエルフを、しらみつぶしに見つけて、森へ戻してくれただろう。あの礼さ」

「何年前の話よ……?」

「さぁね……おばあちゃんの頃の話でしょ?私も知らないよ」


静かな風が木々を撫で、葉の音がひびく。

エルフの目が、どこか寂しげに細められる。


「……もう、エルフの男遊びはいいの?」

視線の先には、丁寧に整えられた小さな別荘がある。


エクシーは小さく笑う。

「それも、昔の話。たくさんのエルフに、よくしてもらったから」

「確かに、昔の話だけど……まだ、男たちは信じてるよ?」

「え……?そうなの……?」


「気まぐれに、女神があの別荘に現れて、お酒と温泉、素敵な夜を何日も……って」

「……そうね。あの頃は、誰かに好きになってもらいたくてここに来て……」

「うん……」

「多分……寂しさを埋めたくて、でもうまくいかなくなっちゃう。すぐに」

「……」

「本気で好きだったとも思えるけど……今となっては、もうね。昔の話」


「楽しくなかったと言えばね……嘘だけど」

エクシーは、少し目を伏せて小さく笑った。


「でも、あの別荘は……整えておいてくれる?」

思いついたようにお願いする、エクシー。


「ああ、いいとも。エルフは義理堅いのさ。いつでも、中の温泉には入れるようにしておくよ」

「良かった」


「使う予定あるのかい……?」

「うーん、どうだろう?……あ、男のエルフには内緒でお願い……」


風に混ざるかすかな硫黄の匂いに、エクシーは不釣り合いなロマンスの思い出を、そっと噛みしめた。

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