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第13話 竜のタイマン部屋


扉を開け、中に入る。

「……ギギギィー」


階段……。

闇は深く、下へと口を開けている。


「この先に何がいるのかな……」

ギルドに置かれた『ダンジョンのすべて』には、ただ一行。


ーー竜試しの部屋、通称、竜のタイマン部屋


エクシーが首をかしげる。

「え……知らないんですか?」


……逆に知ってるのか?

もしかして、情報源は彼女と、亡き魔王リオン?


「さ、いきましょう」

ニコニコと真っ暗な階段を降りていく。


甘い香りが流れてくる。

「香水とか使うんだ?」

「はい、苦手じゃないですか?」

「ああ……大丈夫」

いい香りとは……恥ずかしくて言えない。


「リオンが研究してたんです。千種類ぐらい」

微笑む横顔。

少し歩幅を崩したのは、数の多さだけじゃない。



土の匂い、冷たい汗。


入り口を潜る。


瞬間、視界が青に塗り潰される。


「【極・水氷龍】です」


……なんで知ってる?!


龍が口を開く、先の空間が、ゆっくりと、裂けるようにゆがむ。


「ゴウっ」


青い光が渦を巻く。


「スッ」


手を振る、彼女。


「ゴウっ」


「スッ」


「ゴウっ」


「スッ」


彼女が繰り返す。

息が、喉の奥で詰まる。


「ふふふ、エイ!!」


「バキバキバキっ」

ドリル。

地面から。

ドリルっ

ドリルぅーー!!

無数のドリル!!


可愛いかけ声に不釣り合いな、威力。


「強殺・土ドリルですっ」

異世界初登場並の威力強めの魔法。

ぶりっ子ネーミングセンスが冴え渡った。




ーー続く階段を降りる

紅いアリーナ。


「爆・炎舞龍ですっ」

だから……なんで、知っている?


エクシーはメロンぐらいの "白いナックルガード"を両手にバチバチ合わせている。


消えた!!


見失ったと思ったら、龍の横で振かぶっている。


「ドコっ!!」

龍の顔が横に吹っ飛ぶ。


「力は正義!魔法ですっ」

……求む解説。


「ドコっ!!」

「ドコっ!!」


何度かピンボールのように吹っ飛ぶ龍。



「どうですか……?」

上目遣いの彼女の顔。

自分の顔の温度があがる。

「……可愛……」

小さく首をふって誤魔化す。


「ユウくん、お姉さんの強さに惚れちゃいますか……?」

いつものエクシーだ。


「どこから、聞いたらいいか、判らないのだけど……」

「はいはい」

満面の笑み。テストで100点取った子供の報告かなぁ?


「まずは、重力魔法で浮きます。

次に重力魔法でビュッって、龍の横に瞬間移動」

……リニアモーターカーみたいだな。


「そしたら、振りかぶります。

力=重さ×速さ、ですから」

それ、重さ×加速度が正しいのにな……口に出さず心で突っ込む。


「重力魔法で自分を極限まで重くして、身体強化魔法と重力魔法で、エイっ!!……て」


「それ、めちゃくちゃ、難しいよな」

「はい、そうですね。リオンとめちゃくちゃ練習しました」

……元勇者、なんで魔王に勝てたのか謎の説。どこかの番組で検証してくれないか??


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