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第9話 ダンジョン都市


エクシーがおれに胸当てをつけてくれる。

「ありがとう」

「ふふふ、どういたしまして」

ほほえむエクシー。



ーー魔獣の換金から帰ってきたエクシー

「魔獣が30万エルで、半分の15万エルがユウトさんの分ですーーそして、左の胸当て、私からのプレゼントです」



エクシーが少しだけ口を横にひいて、胸当てのバックルを軽く締める。

「似合ってますね」

見上げる視線が、嬉しそうだ。


「これで、左腕を取り戻せるな!」

おれの声もデカくなる。


さぁ、行こうか。

金と性と酒が行き交う猥雑なあの街へ。



宿を出て、狩りに出かけた、魔王城裏手の森を歩いていると。


「ユウトさん、フリーホールって大丈夫ですか?」

「え……?」

遊園地の?


「あの、ヒュッと落ちるやつです」

「まぁ、大丈夫だけど、なんで?」

「転移魔法ですけど、ヒュッってなるんですよ、はじめてだと怖いみたいです」


人気のない広場。

「さっはじめましょうか」

エクシーがそういいながら、有無を言わせないスピードで、右手をあげその先にグングンと、魔力を貯める。


どんどん黒い球体が大きくなる。


ヤバいヤバいヤバい………。

コワいコワいコワい………。

これは……魔法じゃない、事故レベル……。


「はい、ちょっとチクっとしますよー」

エクシーがおれよりデカくなった球体をぶつけてくる。


イヤぁ…………チクって何〜〜。


空がぐにゃりと曲がる。

下がなくなって、視界が反転した気がした。


「ヒュッ……」

うわっ……これ、落ちる感覚だ!


「っトン」着地。



パッと目の前が、明るくなる。


眩しいぐらいの山の上、息苦しさの中に、澄んだ空気。


見下ろす先に、要塞のような岩石都市がボコボコ、ゴツゴツと、大きく広がっている。


あれが迷宮国家【デュランダルト】

石でできた、都市であり国家。


一攫千金と魂を天秤にかける場所。

魔法で男も女も関係なく、荒々しい



「なぁ、"チク"って何だよ」

エクシーに抗議する。

「気分ですよ……いいじゃないですか、国ふたつ分、一瞬で移動できて」

クスクス笑っている。


「確かに……便利だよなぁ」

こっちの世界の移動はマジで大変だ。

歩くか、馬だけ。


おれは想像する。

海へ山へ、行きたいところへ移動できる。その自由度チート級だな。


「なぁ、おれも使えるようになる?」

「はい、なれますよ」

「どれくらいで?」

エクシーがうーんという表情をする。


「100年ぐらい……」


「おれ、死んでるじゃん?」

エクシーの顔が真顔になる。


「え……生きてますよ」

エクシーは、“常識ですけど?”という顔で言い切った。


なぜ??


「だって、私とリオンの魂でつなぎとめているんですから、同じぐらい生きますよ?」


マジかぁ……スローライフ希望だし、のんびり余生を楽しむか?


「イヤじゃないんですか?」

上目遣いで聞いてくるエクシー。

「なんで……?」

「え……だって」

「ラッキーだろ、やっとご褒美きたって感じだよな。やりたいこと色々あるし」

魔法の研究も楽しそうだ。


丘の上から街に向かって歩き出す。


「転移できるってことは来たことあるんだよな?」

「ええ...…何度か。リオン(魔王)とダンジョンに潜ったりしました」

思わず、苦笑いしてしまう。


魔王がダンジョン攻略……笑うしかない。


人の歩いた跡があるとはいえ、ゴツゴツした岩にところどころ木や根っこがあり、足の置き場に悩みながら歩く。


左腕が無いので、バランスが取りづらい。

「大丈夫ですか?」

「ーー平気」



「どれくらいかかる?」

エクシーに聞いてみる。

「4時間ぐらいでしょうか」

そか、ずいぶん街から離して転移したんだな。


「転移する場所に人がいると転移できないので……見られても困りますし」

おれの意図を察して答えてくれる。


この岩場多め、平地が少なめ。

大軍じゃ攻めずらい。スイスとかと同じパターンで、中立国にもなるわな。


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