Episode1真実
ヤングケアラーだった優依。体力に限界が来て息を引いとった。そんな優依のところに謎の人物が現れる。謎の人物は自身のことを『神』と名乗る。謎の人物は本当に『神』なのだろうか。
「人はなんのために生きているのだろうか。日々自分に問いかける。それでも返ってくる答えは『消えたい』ただそれだけ。」
狭い6畳の部屋。部屋はとても片付いているのに部屋の端に敷かれた布団の周りだけゼリーや薬のゴミが転がっている。その側で咳き込む少女。彼女の名は優依。病気の母と二人で暮らす16歳。彼女は母の介護と学業の両立が難しくなり、精神的にも身体的にも病んでいた。
「ああ、苦しい」そう呟いた優依は間もなく息を引き取った。
ここはどこだろう。真っ白な空間にただ1人立っている優依。するとどこからか声が聞こえる。
???「あなたはよく頑張りました。」
優依 「え?」
???「あなたは随分大変な思いをして生きていたようですね。」
優依 「い、いえ。そうでもありません」
???「嘘をつていますね。私はあなたが生まれた瞬間からあなたをずっと見てきました。」
優依 「さっきからあなたなんですか?」
???「申し遅れました。私はこの世をつかさどる『神』です。」
優依 「『神』?馬鹿げたこと言わないで」
神 「さすがに信じてもらえませんよね。ではこれではどうでしょう。」
『神』を名乗る人物は突然姿を現した。腰までかかるきれいな白い髪で白い衣をまとい浮いている神は杖を取り出し念じ始めた。神が念じ始めると真っ白な空間が衛星から見た地球のような空間になった。
神 「これは普段私が見ている景色です。もう少し近づいてみましょう。」
優依 「これって、、、」
みてみるとそこは優依の葬式。喪主の席に母がいる。しかし、母は泣いていない。むしろ笑っている。
母 「やっと私の人生が戻ってきた。」
優依 「え?」
母 「邪魔者がいなくなったら好きなことやり放題ね」
母は足が悪く、介護はすべて優依がやっていた。そんな母が車椅子無しで一人歩いている。それだけではない。葬式が終わると母は男の人と抱き合っている。
優依 「嘘、、、嫌!」
神 「このことを知ったうえで私はあなたに訪ねたいのです。」
優依 「・・・・・・」
神 「好きな時間に生まれ変われるとしたらいつがいいですか?」
優依 「え?!」
神 「例えば過去でいえば19世紀のヨーロッパや未来でいえば22世紀だとか」
優依 「突然そんなこと言われても、、、」
神 「悩むのも仕方ありませんね。では好きなアニメや漫画などの舞台の世界などはどうでしょう。」
優依 「それなら!・・・」
つづく
『神』と知り合ったことで第二の人生が始まりそうな優依。彼女が選んだ時間とは。
次回も読んでいただけると幸いです。