プロローグ4 半年後:ミスを減らす」
自分は覚え続けよう・自分は考え続けようと努力できる、これも進歩
半年が過ぎた頃、岸高隆史ははっきりと“変わってきた人間”として見られるようになっていた。
その一番の理由は――ミスが減ったことだった。
彼は言った。
「俺、早とちりと聞き間違いが多いんすよ。だから二度確認するようにしました」
それだけではない。
指示はその場で復唱、チェックリストを手元に置く、わからないことは「なんとなくやる」のではなく「聞く」。
当たり前すぎる工夫を、ようやく“自分の問題”として受け止めた。
以前の彼は、何か失敗すれば「誰でもミスるっしょ」「仕方ない」で済ませていた。
だが今は、失敗の原因を自分で振り返って、改善案まで出してきた。
「前の岸高は、同じところ3回間違えた男だからな」
「それが今じゃ“2回までで止める男”に進化してるよな」
と、職場でも冗談交じりに評価され始めた。
本人は言う。
「俺、天才じゃないんで、地味に減らしていくしかないっす。
でも、間違えて誰かに迷惑かけるの、もう嫌なんですよ」
そこに、“自分以外の人間を思う気持ち”があった。
それは、職場で初めて生まれた彼への信頼の芽だった。
隆史が変わったのは仕事に対しても「苦しい時ほど楽しんで」を使いだしたからである




