5
お別れの日。
夕立。
僕らはボロ小屋へ駆け込んだ。
濡れちゃった。
おもむろにあきは、Tシャツを脱いだ。
「はるちゃん、わたしのからだ、変じゃないかな?」
やかましかった蝉の声は消え、雨音に変わっていた。
直視出来る筈もない。
まだ15時前、夕方みたいに薄暗い。
「もう、ちゃんと見て!恥ずかしいし、寒いよ。」
ほっぺを膨らませた。
「ごめん、無理だよ。女子のからだなんて見たことないし、それに暗くて…」
しどろもどろする僕の首をグイッと、瞬間、雷鳴、稲光。
見た。
それは、きれいな白い肌。
彼女が何を気にしてるのかわからなかったけど、ただ、ただ、きれいに白く光っていた。
あきは目を伏せていた。
その白い頬を赤くして。
すぐに目をそらし「なんともない。なんともあっても、なんともない」
僕も体操着を脱ぎ、今度は彼女の首をグイッ。
ほら見て。
僕ら、変わらない。
まだ僕ら、そんなに変わらなかった。
それから服も濡れてるし、すぐに服を着せちゃダメな気がした。
何より寒いだろう、本能的に彼女を抱きしめた。
彼女はひんやり冷たかった。
「あったかい、はるちゃん、あったかいね」
その言葉にふたり我に返って離れて、冷たい服を着た。
嘘みたいに晴れた。
また蝉が鳴き出した。
僕らなんだか手を繋いで、それでも顔を見れず、黙って雑木林の入口まで。
サヨナラも言わず別れた。
明日のお別れも、来年の約束も出来ず。
「きれいだよ」の一言も、伝えられないまま。
それから僕らが会う事はなかった。
春と秋が混じり合った短い夏は、終わってしまった。




