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僕は満足していた。
こんなにかわいい彼女と寝食を共にする。
バンドにも加入してもらって、仕事以外はいつも一緒。
近所のスーパー銭湯に歩いて行って、酒のんで。
休みが合った日は、少し遠くの日帰り温泉巡り。
帰って来たその足でスタジオへ。
終わったらメンバーを部屋に上げて、酒のんで。
あきが作った油揚げ焼いたやつ。
今も、いちばん美味しかった料理。
仕事の日は少し遅い時間にマルエツで買い物。
良くスルメイカ買った。
本当に、あきが来る前とはガラっと世界が変わった。
だから僕には彼女が見えなくなっていたのかもしれない。
「優しくない」
と言われた。
そんなつもりはなかった。
今思えば、手紙そのままの言葉を期待してたんだろう。
言えなかった。
態度でわかるだろ?とか思っちゃった。
あきが押入れにレディコミを隠しているのを見つけてしまった。
読んだ。
セックスの時、「わたしだって、イキたいんだよ!」と怒られた。
そんな事が、後々まで響いた。
最初のすれ違い。
その時僕は、彼女が過去の男と僕を比べて、物足りないんだろう。
そう思った。
そしてそれは、僕がずっと引きずってきた気持ちと見事に一致してしまった。




