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今でも僕には理解出来ない。
墮胎は殺人だ。
その理由が金であれば尚更救いがない。
彼女は流産した。
初産では良くある事だと。
けれど、後で僕との子だと知った彼女の父親が腹を蹴ったと、言われた。
僕はもう彼女と居られなかった。
別れて他の女とも妊娠騒動があった。
産んでくれ、頑張るから。
馬鹿のひとつ覚え。
信用がなかった。
いつでも堕ろす決断。
消える命、母体の苦痛。
変わってやれない。
代わりに死にたい。
その度、僕の精神は壊れた。
女は感極まると、「赤ちゃん作ろ、中に出して」と言う。
学んだ。
けど、その時僕は言うなりだった。
だから何度も出来た。
中には水子地蔵を一緒に拝もうと。
何故産んでくれないのか?
僕はそんなにダメなのか?
ただの玩具に、質問は許されなかった。




