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staying out for the summer  作者: 双葉紫明
届かなかった手紙
11/52

 最後の手紙になります。

 お別れの手紙。

 はるちゃんはきっと、あの日とは少し変わってても、あのきれいで優しいはるちゃん。

 わたし、きれいじゃなくなっちゃった。

 ただのへんてこりんなからだした、女の子。

 もう、はるちゃん好きでいちゃ、ダメなんだ。

 わたしね、びっくり屋さんだから、雷苦手なの。

 今でも落ちる時の音は怖いよ。

 それでもね、あの恐怖の一瞬前にピカッ!って光る時、あの日から、そのたびあの時を思い出して、そのあとの大きな音も怖くなくなったんだ。

 だってあの日のその時は、はるちゃんの温もり感じてたから。

 だから、はるちゃん居なくても、怖くなくなってて、すごく不思議な気持ちだった。

 胸の奥がうずうずむず痒いみたいな。

 だけどわたしね、また雷怖くなっちゃった。

 ある冬の夜、お部屋で寝てたの。

 苦手なマラソン大会だったから(やっぱりびりっけつだったのだ)疲れて深い、深い、眠り。

 鍵閉め忘れたりなんて、してなかったんだよ。

 ショックであんまり覚えてないんだけど。

 冬の、カラ雷みたいのの音と、鈍い痛み、一瞬目が覚めた時、光った。

 顔は見えなかったし、わたしそのまま気を失っちゃって。

 気づいたらお父さんが助けに来てくれてた。

 お母さんやお兄ちゃんは寝てたし、心配するからって、お父さんは震えてるわたしをなだめてそっと出ていった。

 犯人は逃げちゃったみたいけど、お父さんが来てくれなかったら殺されちゃってたかも。

 はるちゃん狭いおうち嫌がって、わたしに自分の部屋があるの羨ましがってたけど、もし誰か同じ部屋で寝てたらこんな目に遭わなかったよ。

 やっぱりわたし、はるちゃんが羨ましい。

 本当に殺されたりしないで良かったけど、わたし、はるちゃんにあげる初めて、なくなっちゃったみたいなんだ。

 きれいな思い出はきれいなまま。

 わたし、ずっとはるちゃんが言ってくれた「なんともあっても、なんともない」を胸に生きて来たし、これからもそうやってあの事件だって乗り越えるよ。

 もしかしたら、はるちゃんに話しても、また今度は「なんともない」って一言だけでわたしを受け入れてくれるかも知れないなんて、希望を持ったり。

 でも、わたしが嫌。

 きれいなわたしでまた会いたかったの。

 それに、きっとはるちゃんわたしなんか忘れてあの優しさ、もっと素敵な誰かに向けてるかもしれない。

 あれは夢だったんだ。

 忘れよう。

 本当に、わたしだけがさみしくって夢見てて、はるちゃんも子猫たちも最初から居なかったのかもしれないな。

 今はそんな風に思うようになっちゃった。

 いつまでも、きれいな、優しいはるちゃんで居てね。

 素敵な夢をありがとう。

 さよなら。

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