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で、ぼろくそに負けて、負けて二人はそれでも満足した。互田は家族が心配だというのでやはり先に帰り、金朗はぶらぶらと一人で夜の中央を歩いた。
むなしかった。
坂を上り、古書店を見つけ、一冊、小説のような本を買った。それからまた坂を下り、街を歩く。寒かった。空には薄い月がかかっていた。一番星が見えた。木々にはネオンが光っている。
日高屋に入り、レモンサワーを注文した。すぐに飲み干し、三百円と少し払って、日高屋を出た。けれど、あまり酔わなかった。頭はむしろ冴えている。
耳鳴りを薄く感じる程度だ。市役所の方へと歩く。大通りを離れ、細道に入る。なんだか心細くなると同時に、人の通りも薄くなる。十字路で、メイドカフェの子からティッシュを手渡され、一応受け取った。
教会の明かりが見えた。昼間、バザーがやっていたところだ。しかし今は無人だった。教会の周囲は厳かであり、暖かくもあった。何となく立ち止まり、手を合わせればいいのかと思ったが、それは違うと思った。それは神道か仏教だ。
じゃあ、祈るか?
俺は祈りたくない。
祈れよ。
仕方ねえな。
そして金朗は目の前にキリストを見た。あなたに。囁く。俺は祈ります。