プロローグ 俺の死因は..........
毎日が夏休み。
もしそんな生活が始まれば、人間誰しもが喜ぶだろう。
俺、夏目蒼葉だって最初はそう思っていた。
しかし、現実は苦だ。
高校時代の虐めが原因でニートになった訳だか、毎日が宿題の終わっていない夏休み最終日のよう。
学校に行かなきゃ、働かなきゃとずっと思いながら、日々日常が過ぎていく。
危機感が頭の片隅にあるのに、何故か行動に移せない。
それがニートの俺の毎日だ。
勿論、親には見捨てられた。
俺が二十代前半までは色々と支えてくれたが、ある日、ほんの些細な事で口論になり、俺が酷い態度を取ってからは会話すらない。
同じ家には居るが、今は互いに赤の他人状態。
俺は最低な野郎だ。
本当なら今頃、親孝行の一つや二つしてあげている筈なのに。
俺がこうなったのも全部あの虐めのせいだ。
「死ねよゴミカス共」
虐めの主犯格たちの彼女を寝取る妄想をしながら、俺は今日も一人、自慰行為に励んでいた。
オンラインゲームをしながら、配信を見たり、こんな事をする毎日。
本当にゴミカス。
それでも、
「やめられねえんだよな」
フィニッシュを迎え、賢者になりながらベッドに横になる。
もし虐めがなくて、俺がしっかりと高校に通っていれば、こうはならなかっただろう。
こんな底辺な生活にはならなかった。
そう考える度に、あいつらの顔を思い出してしまう。
楽しそうに、遊びのように俺を痛ぶるあいつらを。
ぶっ殺してやりたい。
そんな気持ちが湧くと同時に、俺はストレス発散の為に再びティッシュへと手を伸ばした。
「クソ、こうなりゃヤケだ。今日は一日中抜きまくってやる」
◽️◆◽️◆◽️◆
五発目に差し掛かったぐらいだろうか。
突然意識が飛びかけた。
眠気?
よく分からないが、俺はまだ右手を上下に動かす。
「あぶっ.......」
ぐらっと、また意識が飛びかけた。
最近、ちゃんとした物を食べてないしそのせいか、とすぐさま自分を安心させる。
「あっ......ああ」
右手の動きが速くなる。
あとちょっと、あとちょっとだ。
「......ム様」
「ああイク.........」
「......ロム様」
誰かを呼ぶ声が聞こえるが、そんなものは無視だ。
てか俺の神聖な儀式を邪魔するなカス。
「ああ......!!」
本来ならそこで六発目に入る筈だった。
でも、フィニッシュを迎えると同時に、突然意識が飛び、目の前が真っ暗になっていく。
「クロム様!!」
あとで知ったが、俺は享年三十一歳。
死因はテクノブレイクだ。