第35話 メイの願い事
私は今までの疲れもあってかすぐにでも寝てしまいそうだったが、メイちゃんはベッドでごそごそと体を震わせた、私がいるいつもと違う感じが気になって寝れないみたいだった。
メイちゃんが布団の隙間からこっちを覗き込み私と目があった。
「メイちゃん寝れないの?」
「メイまだ眠くないもの」
メイちゃんは可愛らしい熊のぬいぐるみを抱きながら私に言った。
「お姉ちゃんお花は見つかりそう?」
「そうね、見つけられるかは分からないけど、お姉ちゃん達出来るだけのことはやってみるつもりよ。
明日見つからなくてもまた明日、それでも見つからなくてもまた明日。
そうやって諦めずに続けていけば物事はきっといい方向に向かっていくはずよ。
メイちゃんがもし今後の人生で壁にぶつかりそうになったら、お姉ちゃんの言葉を思い出してみて」
「諦めずに続けるいい言葉だね、お姉ちゃん。
メイね、もう一度おばあちゃんの元気な姿をみてみたいの。そしてグレースの花の道をおばあちゃんと歩きたい。おばあちゃんはグレースがこんなに沢山花がなってること知らないのよ」
「そうなの?」
「だっておばあちゃんが元気な頃は花は一輪もなかったのよ」
そっか村長も言ってたけど、病気が蔓延してから花を植え始めたんだった。
「その願いきっと叶うわ。メイちゃんが諦めないで強く願い続ければきっとね。お姉ちゃんも協力するから」
「うん、ありがとうお姉ちゃん」
「だから今日はもうお休みメイちゃん」
私がメイちゃんの頭を撫でて言うと、メイちゃんはあろうことか眠るどころかベッドから起き上がってしまった。
「メイちゃんどうしたの?」
「お姉ちゃんにいい物見せてあげるメイの宝物」
そう言うとメイちゃんは本棚から1冊の本取り出し、その本に挟まったしおりを私に手渡した。
そのしおりは青い押し花で作られていた。
「この花ってもしかして?」
私はこの花に確かに見覚えがあった。そしてそれを確かなものにするかのようにメイちゃんが言った。
「アイリスだよ」
押し花とはいえアイリスの花の実物があるなんて、これならきっと鼻の利くリップにこの香りをかがせればアイリスの花を見つける事ができるかもしれない。
私は一途の望みをみつけ、部屋を飛び出しカイトとリップのいる部屋の扉を開けた。
「カイト見つけたよ。アイリスを見つける手掛かり」
扉を強く開けたものだから、カイトは飛び跳ねるように驚いたが、リップは既に爆睡中でこんな物音じゃまるで起きなかった。
「アサ脅かすなよ、心臓が止まるかと思ったぜ」
「そんなことよりもこれをみて」
カイトにアイリスのしおりを見せたが部屋が暗くてカイトにはなんのことやら分からなかった。
「アイリスの押し花、今はビニールで密封されてるからあれだけど、開けてリップに香りをかがせれば、きっとアイリス見つけられると思う」
「確かに望みは出てきたな、でもリップも爆睡してるし。今起こしてやるのは可哀想だ」
「そうね明日にしましょ」
そうして部屋を後にして、メイちゃんの部屋を訪れると、扉を開けるなりメイちゃんが私に飛びついてきた。
「お姉ちゃん突然部屋飛びだしちゃうからメイ心配したよ」
「メイちゃんごめんなさいね。このしおりお姉ちゃんに貸してもらえる?」
「しおりを?」
「うん、これがあればアイリスの花見つけられるかもしれない」
そう言うとメイちゃんは笑顔で私に言った。
「分かったならいいよ」
メイちゃんはベッドに戻り、私が戻ってきて安心したのか凄く眠そうな顔をした。
「お休みお姉ちゃん、メイ眠くなってきたよ」
「メイちゃんお休み」
メイちゃんが眠りにつくのを確認してから私もすぐ眠りについた。




