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第28話 約束の品

 リップに乗り込んで村を出たのは良かったけど、やっぱり3人乗りというのは無理があったみたい。

 リップが支えられる重量としては、全然問題はなかったのだけれど、スペース的にぎゅうぎゅう詰めで快適な乗り心地とは到底いえない。


 案の定ジョセが耐えきれずに声を上げた。

 「アサ、私リップでカルーモまでいかなくていいよ。次の村で下ろしてくれ」


 「それで大丈夫なの?ジョセ」

 私が心配してジョセに聞くとジョセは私に言った。


 「馬車屋に頼んで帰るよ、今のこの状態よりはマシだよ」


 「ジョセお前お金持ってるんだな」

 カイトが言うとジョセは得意な顔をし、自慢げに言った。


 「そりゃ今や有名なジョセサーカス団ですからね」


 「でもこれからはリップが抜けて大変じゃない?」


 「クワーククルー」

 私が水を差すようなことをいうとジョセが「ゲッ」苦笑いをした。

 今やリップはサーカス団の看板娘のようなもので、グッツの売上もリップが1番なほど大人気だった。


 「芸は一級品なんだからリップが抜けても大丈夫さ」

 ジョセは団長の意地もあり私達の前では強がってみせた。


 程なくして村がみてきて、私達が立ち寄ったのはモンテ村で、水辺の村で大きなモンテ湖は水が透き通っていて、釣りや手漕ぎボートもあり、観光で訪れている人も沢山いた。

 

 村を3人で見て回り、馬車屋をみつけて、ジョセとはここでお別れすることになった。


 「アサそれじゃ元気でな。月に一回ぐらいは電話しろよな」


 「うんジョセも元気で」

 私達はハグをかわすとジョセは不意にカイトを睨みつけた。


 「なんだよ!?」

 カイトが不気味に思い体をビクっと震わすとジョセが言った。


 「お前、アサを不幸にするような真似したら絶対に許さないからな」


 「ジョセったらそんなこと言うもんじゃないわ」

 私がジョセをなだめる中、カイトは力強くジョセに言葉を返した。


 「アサは俺が責任を持って幸せにする」


 「その言葉忘れるなよ」

 ジョセはそう捨て台詞を残すと馬車に乗り込みカルーモ村へと帰っていった。

 

 その後二人でモンテ村を歩いていると口うるさいジョセがいなくなっちゃったもんだから、急に静かになってお互い妙に気遣って変な空気になってしまった。

 そんなカイトがボートに乗ろうと私を誘ってくれた。

 リップにはお留守番をしてもらい、私達がボートに乗り込むと距離が近いだけに、お互いに緊張して何を話せばいいか分からなくなっていた。


 その空気を断ち切ってカイトが私に言った。

 「アサあの時の約束覚えてるか?」


 「私を迎えにくるって約束?」  


 「まぁそれも勿論あるけど、これだよ」

 そう言うとカイトはバッグからある物を取り出して私の手のひらに載せた。


 私が指を開くと中から私の大切な金のネックレスが入っていた。

 中を開くと家族三人で撮った写真が入ってたが、仕掛けはそれだけじゃなく中を開くと同時にオルゴールの音色が鳴るように手を加えられていた。


 「素敵。これどうしたの?」

 私は感動して目をキラキラと輝かせるとカイトに聞いた。


 「俺機械いじりが好きでさ、アサに気に入ってもらえると思って」

 カイトは相変わらずこういうのが苦手なようで、照れて私と目を合わせようとしなかった。

 でもカイトの気持ちはめいいっぱい私に伝わってきたから私はカイトにお礼をいった。


 「うん気に入ったわ、これ大切にする。カイトありがとう」


 「おう」

 それからはさっきまで黙ってたことが不思議に思うくらい、カイトと沢山喋り合った。

 お互いずっと離れていただけあり話すことがいくらでも出てきた。

 するとリップが業を煮やしてこちらまで泳いできた。


 「リップごめんね今から沖に上がるわ」

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