第19話 サリサ説得
サリサの村ではアーロイが村の外に全兵を招集し、今日の作戦について話をしていた。
「今幹部の者が護衛をつけマカに先日の答えを聞きにいった。その答えが出ればすぐに通信で知らせがくる。
おそらくこのままマカがやすやすと水を開放するとは思えん。その時は私自らがおもむきダムを破壊する。
今日お前達みなを集めたのは私が留守の内にマカの連中がサリサを襲ってくる可能性あるからだ。
私が留守の間は戦闘指揮はウィリーとる。私が戻るまでなんとしてもサリサをもたせるのだ」
「イエッサー!!」
兵隊が次々と声を上げ、お互いの士気高め合ってゆく。
「アーロイ」
ジュエルさんが戦いをやめさせたいという一心で彼の名前を呼んだが、その後にどう言えば理解してもらるか分からず、言葉を失ってしまった。
「ジュエル心配するな、今日で全てことは済む。お前は屋敷の中で自分の身を守ればいい」
そんなことはつゆ知らずアーロイはジュエルさんに避難を命じた。
そしてウィリーさんにも指示を出した。
「ウィリーよ今回こそは前回のようなミスを犯すなよ。その時はお前の首が飛ぶとおもえ」
「承知しておりますアーロイ様、それよりも私は気掛かりなことがあります。
あのアサという女、奴がこのまま引き下がるとは私には到底思えません」
「アサなど気にするでない。奴には前回思い知らせてやった。わざわざ死にに来るような真似はせんだろう」
その頃私達はもうサリサの付近まできていた。リップに地上に下ろしてもらう。
「それじゃジョセ、リップ行ってくるわね」
そう言うとジョセは不安な気持ちから私に抱きついた。
「アサお前死ぬんじゃねーぞ」
「うん、大丈夫。危険を感じたら竜になって逃げるわ。足の速さはアーロイにだって負けないんだから。
ジョセとリップは地上で待機して、黒竜が上空を飛ぶのを確認したら空からサリサに避難を呼びかけて」
「分かった。気をつけてな」
ジョセ、リップとは一旦別れて私は逃げも隠れもせずに、サリサの村に正面突破で入れ口に向かった。
兵隊は全て招集されおり、見張り兵もおらず私はサリサ村の中へ入っていった。
たがすぐにみつかり兵隊が声をあげた。
「貴様あのとき女だな」
「良い、その女をここに通せ」
「しかし」
「良いと言っている」
「かしこまりました」
「ウィリーの言った通り、命を無駄に散らすとんだ大馬鹿者だったようだ。お前は今更ここに何しに来たのだ」
「今からでも遅くないあなた達はマカの人とやり直せる。レムルの人達はみんな生きてるの。だからそれをマカの人に説明すれば水も分け与えてもらえる」
「我々にダムを破壊させないためのでまかせか?」
「でまかせじゃない。マカの人達はダムをあなた達に破壊させて洪水を起こして村を壊滅させようとしてる」
「こんな土壇場でそんな事を言われ信じるバカがどこにいる。ウィリーそいつの戯言はもう聞き飽きた。そいつを捕らえて今度こそ白竜の居場所を吐かせてやれ」
「了解しました」
ウィリーさんが剣を抜き構える。
しかし何も持たない無防備な私に笑って言った。
「武器もなしに敵基地に攻めてきたのか」
「私は争うためにここに来たんじゃないもの、平和を実現するために凶器は必要かしら?」
「少なくとも今君の置かれてる状況では必要だと思うよ。これは君の忘れものだ」
そう言うとウィリーさんは棍を私に投げ入れた。
私の得物赤い棍だった。
「私に戦えというのね」
「そうだ」
アーロイ、ジュエルさん、サリサの全兵が見つめる中、私とウィリーさんの2度目の戦いが始まった。
先に仕掛けてきたのはウィリーさんの方だった。一気に間合いを詰めこちらに斬り掛かってくる。
私は棍を強く握り、五感を研ぎ澄ませ剣がかすめる一瞬を見極め、身体を反らし相手の剣を避けるとともに、ウィリーさんの腹部に渾身の一撃を放った。
ウィリーのまとう鎧が砕け、ウィリーは膝を地面につけた。私とウィリーさんの戦いは一瞬で決着をつけた。
そして私はその足でアーロイの元に近付いた。
「あなたも戦いをせねば、やめないのであれば今ここで私が相手します」
「ふふふ面白い小娘だ。しかしだ今の時間でマカからの答えがでた。奴らは私達の要求を受け入れなかった。残念だが私はこれから行く所があるんでな。それにお前の相手はまだ諦めていない様子だぞ」
その瞬間後ろから殺気を感じ、私が振り返るとともにウィリーさんが私を身体がっちり腕ホールドし、私の身動き完全に封じた。
そしてアーロイは自身を黒竜の姿へと変貌させるとウィリーに言った。
「そいつを牢に閉じ込め、後のことはウィリーお前に任せたぞ」
そう言い残しアーロイはマカのダムに向けて飛び立って行った。
お読み頂きありがとうございます(^^)
執筆の励みになりますので、感想、ブックマーク、評価よろしくお願いします。




